【判例時報watch】弁護士会の綱紀委員会の議事録のうち「重要な発言の要旨」に当たる部分が民訴法220条4号ニ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に該当するとされた事例

最高裁平成23年10月11日決定・判例時報2136号9頁

内部文書性→肯定
不利益性→肯定
※文書提出命令の申立ての相手方は文書の所持者(本案訴訟の相手方とは限らない)

| | Comments (0) | TrackBack (0)

上告審が判決で訴訟の終了を宣言する前提として原判決を破棄する場合には口頭弁論を経る必要はないとした事例

最高裁平成18年9月4日判決。判例時報1948号81頁。
破棄・訴訟終了宣言。裁判集民事登載予定

<事案>
原告らのうち1名が死亡した後に、原審がその請求を認容する判決を言い渡したが、原告の地位は一身専属的なものであって相続の対象とはならない

<本判決>
本件訴訟は、被上告人の死亡により当然に終了したというべきである。したがって、原判決中被上告人に関する部分を破棄し、被上告人の死亡により本件訴訟が終了したことを宣言することとする。
なお、訴訟の終了の宣言は、既に訴訟が終了していることを裁判の形式をとって手続上明確にするものにすぎないから、民訴法319条及び140条(同法313条及び297条により上告審に準用)の規定の趣旨に照らし、上告審において判決で訴訟の終了を宣言するに当たり、その前提として原判決を破棄するについては、必ずしも口頭弁論を経る必要はないと解するのが相当である。

※タイトルを一部変更

| | Comments (0) | TrackBack (0)

浜中善彦「実務重視の教育と教育の基本-梅本吉彦著『民事訴訟法新版』の刊行に寄せて」

NBL837号(7月15日号)11頁。
法曹教育や、梅本「民事訴訟法新版」の書評についての論考であるが、貸出稟議書が自己利用文書に該当するか否かについての記載、すなわち、
「稟議として取り上げるまでの取引先との取引経緯記録等は文字どおり自己利用文書であるが、稟議書は(中略)まったく第三者の目に触れることのない文書としては書かれていないのである」
との、銀行員としての実務経験に基づく指摘は重い。

| | Comments (2) | TrackBack (0)

銀行の本部の担当部署から各営業店長等に宛てて発出されたいわゆる社内通達文書であって一般的な業務遂行上の指針等が記載されたものが民事訴訟法220条4号二所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たらないとされた事例

最高裁平成18年2月17日決定(抗告棄却)。金融法務事情1773号(6月15日号)41頁。
<基本事件>
銀行を原告とする貸金及び連帯保証債務履行請求訴訟
被告らは、融資一体型変額保険にかかる融資契約は錯誤により無効と主張

<本件>
「融資一体型変額保険の勧誘を銀行が保険会社と一体となって行っていた事実」を証明するためであるとして、銀行が所持する社内通達文書(変額一時払い終身保険に対する融資案件を推進するという一般的な業務遂行上の指針を示したもの)についての文書提出命令申立て

<判断>
最高裁平成11年11月12日決定(銀行の貸出稟議書について4号二該当判断)
「(本件各文書は)法人内部で組織的に用いられる社内通達文書であって、抗告人の内部の意思が形成される過程で作成される文書ではなく、その開示により直ちに抗告人の自由な意思形成が阻害される性質のものではない。さらに、本件各文書は、個人のプライバシーに関する情報や抗告人の営業秘密に関する事項が記載されているものでもない。そうすると、本件各文書が開示されることにより個人のプライバシーが侵害されたり抗告人の自由な意思形成が阻害されたりするなど、開示によって抗告人に換価しがたい不利益が生ずるおそれがあるということはできない」

| | Comments (0) | TrackBack (0)

前訴の確定判決の既判力によって特許権侵害差止請求が棄却された事例/前訴の確定判決と同一特許権に基づき同一の製品の製造販売行為によるその後の損害についての賠償請求が信義則により許されないとされた事例

東京地裁平成17年11月1日判決・判例時報1921号(5月1日号)126頁。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

文書提出命令において提出を命ずる文書の範囲につき、特定を欠くとして原決定を取消し、事件を原審に差し戻した事例

大阪高裁平成17年1月18日決定。判例時報1921号(5月1日号)71頁。

本案被告:相互信用金庫(平成14年3月経営破綻)
申立人=本案原告:同金庫の出資者ら
被申立人:国

原決定:国(近畿財務局)が被告相互信用金庫に対して行った平成13年3月末基準の検査に関する示達書(検査結果報告書の添付されたもの)の原本または控えの写しのうち「貸金以外の資産に関する記載」並びに「債務者名、債務者の業種の記載」を除く部分の提出を命じた。

本決定:「貸金以外の資産に関する記載」を除外した点において、提出を命ずる範囲の特定に欠けるとして原決定取消し・差戻し

※差戻し後決定(大阪地裁平成17年4月6日)では、提出を命ずる範囲について詳細に特定された(抗告・抗告棄却・確定)。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

日本銀行の金融機関に送付した「所見通知」に関する文書提出命令の申立てが認められた事例

大阪高裁平成16年12月27日決定。判例時報1921号(5月1日号)68頁。

本案被告:相互信用金庫(平成14年3月経営破綻)
申立人=本案原告:同金庫の出資者ら
被申立人:日本銀行

対象文書:日本銀行が保管する、同金庫に送付した「所見通知」
被申立人:民訴法220条4号ハ・197条1項2号の「職業の秘密」に関する事項で「黙秘の義務が免除されていないもの」に該当すると主張

(決定要旨)
・日銀考査の結果は、金融庁の職員に閲覧させ、その他正当な理由がある場合には開示することができると定められていること
・独立行政法人等情報公開法により開示を拒否できるとしても、民訴法所定の文書提出義務に関する規定に優先するとは解釈できないこと
→「職業の秘密に関する事項」に該当しない
→文書提出命令を認めて、抗告人(日本銀行)の抗告を棄却

※「民事訴訟法」のカテゴリを設けることにしました。

| | Comments (0) | TrackBack (0)