鷲尾香一「信用組合「消滅へのカウントダウン」が加速する」

フォーサイト9月号41頁。
記事によると、これまで経営危機に陥った信用組合は近隣の信用組合に救済されてきたが、今や信用組合ゼロの県が5県、ひとつの県が11県もあるため、近隣による救済という手法は限界に近づきつつあることから、筆者は、信用金庫と信用組合の業態区分が撤廃される方向に向かうのではないかと推測している。

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新銀行東京展望なき延命(下)提携構想、金融界冷ややか

日本経済新聞3月29日付け。

記事によると「高額の預金者も多くペイオフ(預金などの払戻保証額を元本一千万円とその利息までとする措置)による破綻処理も非現実的」ということであり、高額預金者は「多い」という評価になるらしい。

高額預金者が多いとペイオフができないとは。そういう制度だったのだろうか。

また、記事では国会による責任追及が行われる可能性があるとのことだが、むやみな貸し渋り批判をして石原銀行構想を歓迎した与野党議員たちの責任追及もあわせてすべきだろう(どっちもどっちだから黙れという趣旨ではない)。

記事によると、金融庁では「一度検査に入れば、正常債権を含めて厳しく査定しなければならない」と、検査入りを躊躇しているとのことであるが、きちんと査定するのは当然のこと。検査に入るかどうか、また査定がきちんと行われるかどうかに匙加減があるとすれば、厳しい査定があることを前提に内部統制を行ってきた他の金融機関に対する示しがつかなくなる。

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滝野川信金に信金中金が200億円を支援

asahi.com:資本不足の滝野川信金 信金中金が200億円支援へ

記事によると、
「このままだと・・・自己資本比率が、国内業務を継続するのに必要な4%を下回る見通しになった」
「決算期末の今月31日を払込日とした200億円の優先出資証券の募集を開始。信金中金は、この優先出資証券を引き受ける」
とのこと。年度末に向けていろいろ動きがあるようです。

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「ペイオフは選択肢にない」新銀行東京

日経ヴェリタス3/16号(創刊号)「まいた種に苦悩する津島代表執行役」より。
記事によると「都の負担が最小になるペイオフは、預金者への影響が大きく石原知事の進退問題に発展するため選択肢にない」という。

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新銀行東京の元本1000万円超預金は9600口座477億円

日本経済新聞3月12日付け朝刊。
記事によると、都議会予算特別委員会で東京都が明らかにしたという。このような質疑がされているということは、一部定額保護(ペイオフ)制度の導入が金融機関の経営に規律をもたらしていることの現れといえる。

この記事によると、現時点で破綻処理を選択した場合に預金者に生じる損失は477億円の一部である(全部ではないがカット率を事前に予測することは困難だろう)。これを避けるために東京都が400億円を追加出資することが適切かどうか、結論ありきではなく冷静に議論すべきと思われる。

なお、記事では金額ベースでの「分母」は4113億円とされているので、保護対象外預金の割合は約12%。
件数ベースでの分母は記事では明らかでないので比率は不明。
店舗数は本店を含み9店のようなので、単純計算すると1店舗あたり約1700件。多いと見るか少ないと見るかはわからない。

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金融危機から10年残された課題(4)再生遅れる地域金融

日本経済新聞11月2日付け朝刊。
記事によると「金融庁内ではいま、柳沢氏が模索した強硬路線をとってでも、地域金融機関を大胆な改革に突き動かすべきだとの意見がじわじわと頭をもたげる」という。方向性はまことに正論だが、それを「強硬路線」とか「大胆な改革」というのはおおげさであり、「モラルハザード路線から普通路線に戻る」というほうが正確と思われる。

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地域金融にペイオフ発動―金融庁に再び強硬論(霞が関風速計)

日経金融新聞10月29日付け。
記事によると「経営者に緊張感を与えるには、ペイオフ発動しかないと強硬路線の復活を唱える声も金融庁内に出てきた」という。ペイオフ(一部定額保護)制度はすでに導入されているのだから、あとは破綻金融機関に適用するだけである。発動の要件が整っていても強硬とか柔軟といった匙加減の余地があるとすれば、モラルハザードを招きかねない。

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金融行政の針路/摘めるかリスクの芽(上)危機回避「公的」頼らず

日本経済新聞9月8日付け朝刊。
自由主義経済において、倒産は避けて通れない現象であり、あとはその損害をどのように分担するかという問題が残るだけである。金融機関の倒産現象に即して言えば、
1)債権者(主として問題になるのは預金債権者)にその損害を分担させるか、それとも、
2)債権者以外の、倒産金融機関とは関係がない第三者にもその損害を分担させるか
の問題である。
日本では、これまで無制限の国民負担(預金全額保護)が選択されてきたが、それが一部制限されることになった(ペイオフ=一部定額保護の導入)。
記事には「昨年秋、東京建設信組の経営危機が雑誌で報じられると関東財務局が窓口役で信組業界と協議。『ペイオフを発動しない』『資本不足でも国は公的資金を原則として注入しない』『まず業界で資本支援を検討する』との三原則を固めた」とあるが、その順序が問題である。ペイオフ(一部定額保護)が制度として導入された以上は「ペイオフを発動しない」という結論が先にあるということはあり得ない。
順序を入れ替え、かつ、表現を正しくするとすれば「まず業界で資本支援を検討する」「国による資本注入はなるべく避ける」「ペイオフ発動は最後の切り札なので、できる限り避け、他の手段を最後まで検討する」といったところではなかろうか。
記事の最後には「モラルハザードを招く安易な救済を避けながら」とあるが、倒産金融機関とは関係がない第三者に倒産による損失を分担させる手法は(業界による支援も含めて)多かれ少なかれモラルハザードを招くと言わざるを得ない。ただ、モラルハザードにまったく言及がない記事も少なくないので、言及してあるだけまだ冷静なほうである。

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山梨県民信組に全信組連が資本支援を検討

日本経済新聞9月2日付け。
記事には「上部機関が大型信組を含め様々な不振信組を支援すれば、金融安定化の大きなプラスになる」とあるが、預金全額保護を取りやめたのは、金融機関の経営に規律を取り戻すのが目的ではなかったか。

基礎データ
1)預金残高4928億円(H19.3現在:同信組サイトより)で業界4位(9/2日経記事)
※ちなみに豊和銀行の預金残高は5297億円(H17.3現在)
2)店舗数58
甲府市に17店(本店を含む)
その他、上野原市を除く県内11市に31店
その他、県内7町1村に10店
※ちなみに豊和銀行の店舗数は49
3)2005年3月期から3期連続で最終赤字を計上。3月末の自己資本比率は4.89%。不良債権比率は23%であり業界平均の2倍以上(9/2日経記事)
4)2004年2月に甲府中央、谷村、美駒、やまなみの四信組の合併で誕生。

※日経記事には「昨春過小資本に陥り公的資金の注入を受けた大分県の第二地銀、豊和銀行より規模が大きい」との記載あり。
(参考)
豊和銀、90億円増資を正式決定、公的資金申請へ環境整う

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大東京信用組合と東京建設信用組合合併へ

日経金融新聞6月14日付け。
記事によると、今年3月末の東京建設の不良債権比率は約50%とのことであり、もし信組からペイオフの対象が出れば信組業界全体への信用が揺らぎかねないので、信組業界では救済型の合併を進めているとのこと。

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預金保険機構が財務状況レポートを取りまとめ

日経金融新聞5月15日付け。
記事によると、定額保護分を超える預金等の保護に11兆4000億円が支払われたということであり、その内訳は長銀(3兆2000億円)、日本債券信用銀行(3兆円)、北海道拓殖銀行(1兆2000億円)などとなっている。もともと預金保険の対象でなかった金融債も全額保護したため、これを発行していた長信銀向け支出額が増大した。これらの支出の一部は金融機関から特別保険料を徴収してまかなったが、10兆4000億円は国民負担となったという。
一方「早期健全化勘定」と「危機対応勘定」では利益が生じており、正味の国民負担は9兆円前後となる可能性があるという。
記事の見出しには「平成金融危機収束」とあるが、記事を読む限り、機構がそのような宣言をしたという記載は見あたらない。

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金融担当相山本有二氏――ペイオフ現時点ない(WIDE INTERVIEW)

日経金融新聞11月29日付け。
「今まで通りの経営ではじり貧となる金融機関はあっても、ペイオフまで追い込まれるところは今のところないと見ている。だが、時代が変わり金融機関がリスクを当たり前のように取るようになると、規模の小さいところは経営が不安定になっていくだろう。検査で点検すれば解消できるとは思うが、ペイオフが発動される可能性が今後もないとは言い切れない」穏当な発言との印象。
山本氏は内閣府特命担当大臣(金融担当)・再チャレンジ担当。再チャレンジ支援議員連盟会長。

ところで、タイトルは記事タイトルのままだが「ペイオフ現時点ない」とは・・・
現時点でペイオフが発動されていないことは誰でも知っているわけで。
「当面の発動可能性は低いとの認識示す」あたりが穏当ではないか。

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豊和銀、90億円増資を正式決定、公的資金申請へ環境整う

日本経済新聞(地方経済面・九州B)8月12日付け。
これまでの情報を整理しておく。なお、基礎データの追加として、
・従業員数 677名(嘱託及び臨時従業員を除く)
・預金残高 5,297億円
(平成17年3月末現在)

4月28日:早期是正措置を受ける
6月29日定時株主総会
・定款変更により役員減員9名→6名
・資本減少77億円→約35億円
・水田頭取は留任
8月10日臨時株主総会
・西日本シティ銀行に対する30億円の第三者割当増資決定
8月11日取締役会
・地元取引先等(691件)に60億円の第三者割当増資決定
8月28日払込期日(予定)

※2007年3月末までに90億円程度の公的資金申請のため準備中。順調に進めば、ペイオフ解禁後第1号となる。連結自己資本比率は2.29%(2006年3月期)→10%近くに上昇する見通し。
※金融機能強化法も初適用。

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豊和銀行(大分市)に公的資金注入

公表情報の整理メモ。「記事」は日本経済新聞。
なお、債務超過と判断されず、ペイオフ(一部定額保護)が発動されなかったためか、事実公表後も預金者の動揺は見られず、どの支店も平穏。株価も小幅な下落にとどまるとのこと(5月3日記事)

1 豊和銀行の経営状況等
・同銀行の預金量は大分県で2位(5月1日記事)
・店舗は大分市内に(本店営業部を含めて)23か所、別府市内に5か所、その他大分県内に17か所、福岡県内に3か所、熊本県内に1か所。合計49か所(同銀行サイト)
・1月からの金融庁検査により、自己資本比率が国内行基準の4%を下回るがプラス(債務超過ではない)と判断される(4月29日記事)→2.2%と公表(同銀行サイト)
・同銀行の平成17年9月末時点の不良債権比率は6.3%。同時点で同銀行より不良債権比率が高い上場地方銀行は25行(5月3日記事)
2 早期是正措置等
・4月28日、金融庁から早期是正措置を受ける(同)
・西日本シティ銀行(福岡市)から30億円の増資を受ける(同銀行サイト)
・西日本シティ銀行は役員を派遣し、将来の経営統合も検討する(4月28日記事)
・西日本シティ銀行は西日本銀行と福岡シティ銀行2004年に合併して誕生した銀行。700億円の公的資金が注入され、現在も同額の残高がある(5月3日記事)
・他に、地域取引先を対象とする第三者割当増資も検討(同銀行サイト)
・さらに、金融機能強化法を初適用して100億円超の公的資金を注入する方向で検討。ペイオフ全面解禁後公的資金の注入は初(4月28日記事)
3 今後の対応
・金融機能強化法を適用して公的資金を注入する場合は、経営責任と株主責任の明確化が必要(4月28日記事)
・水田頭取は4月28日の記者会見で「不良債権の査定が甘かったということはないと思う」「(融資姿勢は)今後も変わりはない」と発言。役員責任については明言せず(5月3日記事)

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信金中金・全信組連、小さい船では揺れ大きい――「ペイオフ」回避へ合併支援

日経金融新聞4月6日付け1面。
ペイオフ1号を出すと業界全体の信用に影響するとの理由(※)で、全国団体(信金中金・全信組連)による合併支援策がとられているという。健全な金融機関のコスト負担により経営基盤の弱い金融機関を救済する図式と見れなくもないが、従来の国民負担(全額保護方式)よりはマシとも考えられるし、これにより経営効率化が進むのであれば、伝家の宝刀を抜かずにペイオフ解禁効果が実現しつつあるともいえる。

※記事によると、ペイオフ1号回避だけではなく、取り扱う金融商品の多様化等に対応して業務の高度化を図ることも大きな理由となっているとのこと。

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全信組連、5信組に資本支援――劣後ローンなど活用、今年度2.5倍41億円

 日経金融新聞3月23日付け。

 前の記事で、

「最大10億円」というのは合併案件1件あたりの金額のように読めるが、総額としてはどの程度の金額が予定されているのだろうか。経営基盤の強い信組の負担により、経営基盤の弱い信組の出資者や預金者等の債権者が保護されることになるのだから、青天井とはいかないだろう。

と書いたら、今回の記事により、今年度41億円だということがわかった。日経の記者さんがこのblogを読んで続報を書いたということはないだろうから、私が疑問に思うような点は誰でも疑問に思うということだろう。

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信組合併に最大10億円、全信組連が支援策――繰越欠損金解消、基盤強化狙う

日本経済新聞3月14日付け夕刊。
「全信組連はペイオフ(預金などの払戻保証額を元本一千万円とその利息までとする措置)が昨春、全面解禁されたことを受け、その対象となる信組が出れば、信組業界全体の信用力にも影響が及ぶと判断」したという。
記事によると「最大10億円」というのは合併案件1件あたりの金額のように読めるが、総額としてはどの程度の金額が予定されているのだろうか。経営基盤の強い信組の負担により、経営基盤の弱い信組の出資者や預金者等の債権者が保護されることになるのだから、青天井とはいかないだろう。

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大阪発――カギ握る「近畿産業信組」、韓国系、生き残りへ団結も(列島金融ファイル)

 日経金融新聞3月9日付け。
 小規模の信用組合が生き残りのために合併する動きがあるという記事。
 合併した信組を所管する財務局・財務支局が局長談話を発表したことについて、関西の某信組幹部が「自分のところから(ペイオフ)第一号は出せないでしょう」と分析したという記載や、全国の韓国系信組を取りまとめる在日韓国人信用組合協会としても「どうあっても韓国系信組からペイオフ第一号を出さない、との思いは強い」という記載が興味深い。

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釧路市制度融資、決済性預金から定期に

 日本経済新聞1月26日付け地方経済面(北海道)。

 無利息の決済用預金→定期預金に移行。これで利息収入が増大するという。
 「では金融機関の破綻リスクはどうする?」と思いながら読み進めると、
 「市の長期借入金と相殺される」との市役所幹部談話を取っている。
 しかも、一部金融機関では預金が借入金を上回るため、差額は従来どおり決済用預金にとどめるという。
 この記事内容はわかりやすい。
 ただ、金融機関の経営が安定したと判断してこのような措置を講じたように記事には書いてあるが、借入金との相殺は、金融機関の経営の安定度と関係なく、ペイオフ(一部定額保護)解禁と同時にできたことなので、そこだけ突っこみ不足なのが残念。

 それから、タイトルだけ読むと一瞬だけ「?」となるのは私だけだろうか。
 制度融資(の原資を)決済性預金から定期預金に移し替えるという意味。そりゃそうだけど、そこを略すかなあ。。

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ペイオフ対策で金融機関選別進む

 日経金融新聞1月11日付け3頁「金融機関人気度調査から(下)」より。
 これは、日経金融新聞が全国の上場企業を対象に実施した第十九回金融機関人気度調査の結果の紹介記事。
 ペイオフ解禁への対応として「決済用預金に振り替えた」が34.3%。ただし、これは低金利だからこそであり、金利が上がれば普通預金などへの移動を検討せざるを得ず、その際に金融機関の選別が進む可能性があるという。ということは、金利上昇局面で預金移動(預金減少)が生じる可能性があるということか。
 また、部分解禁時と比べると額は小さいものの、企業が中小金融機関からより規模の大きい銀行に預金を移す動きが広がったという。

※ペイオフ(一部定額保護)というカテゴリを設けました。

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銀行貸し出し、住宅・自治体向け頼み――企業融資伸び悩む

 日経金融新聞11月21日付け。
 地方自治体の中にはペイオフ対策として預金相当額を借り入れる動きもあるとのこと。
 預金先金融機関が破綻しても、借り入れと相殺できるからである。
 無駄に借り増しするということはないだろうから、預金先金融機関から借り入れた分、他からの借り入れを減らしたということなのだろうか。

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与謝野金融行政を読む、「脱・竹中」色濃く――中小金融に優しい視線

 日経金融新聞11月4日付け。

 与謝野金融担当大臣は「信金、信組は小さい先にリスク覚悟で貸しているので不良債権比率が高いのは自然だ」と述べたとのこと。リスク管理がきちんとなされていれば、不良債権比率が高くても金融機関の経営を圧迫することはないのだから問題はない。問題は不良債権比率が高いかどうかではなく、リスク管理がなされているかどうかではないか。
 「ペイオフ発動についても「そういう事態にならないと今のところ確信している」と発言。発動を視野に入れた厳しい検査などは当面ないとの観測も出ている」とのこと。

 なお、与謝野氏は初閣議後の会見で、今後の金融行政の課題として「オーバーバンキングの問題があることは確かだ」と述べたが「金融庁が強権的にやめろという話ではない」とも述べている。ふむふむ。

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商品「安全性で選ぶ」76%、「ペイオフ」理解進む――松本大、金融アンケート

 日本経済新聞地方経済面(長野)10月20日付。

 ペイオフの具体的対策のトップが「家族名義に預金分散」(16%)とのこと。ん?他人名義預金は預金保険の対象から外れてしまうのでは?ここは「家族に金銭を贈与して、それぞれ本人が預金をすること」と表現するのが正確ではないか。あと、贈与税等の確認もお忘れなく。
 それから、倒産などの不安を感じる金融機関については、

生命保険会社:27%
銀行:19%
証券会社:18%
信用組合:10%

の順とのこと。アンケートを実施した松本大学では「銀行の不良債権問題が解決しつつあることが影響」して、銀行に対する不安が低下したと分析しているようだが、その前に、そもそも銀行が信用組合より不安度が高い=信頼度が低い結果となっていることに何もコメントがない。これ当たり前なのだろうか??
 「破綻したときに社会的影響が大きいという意味で不安を感じる金融機関はどこか」という趣旨か。いやそれなら不良債権問題が解決しようとしまいと毎年同じ順位になりそうだ。
 さらに「信用金庫」や「農協・漁協」の不安度が掲載されていなかったが、信用組合よりもさらに不安度が低い=信頼度が高いということか。信頼度は銀行<信用組合<信用金庫?よくわからん。アンケート実施者も記者もこのあたりスルーしたままでいいのだろうか。まさかアンケートの選択肢になかったということはないだろうが。

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対談「預金は、定額保護が本来の姿」

 金融広報中央委員会 対談「預金は、定額保護が本来の姿」

 金融広報中央委員会機関誌の本年1月号に掲載された、預金保険機構理事長永田俊一氏と金融広報中央委員会会長増永嶺氏の対談がネット公開されている。

(参考)金融広報中央委員会とは?

※ペイオフウォッチングというようなカテゴリを作ろうかな。。もちろんソースは(これまでと同様)公開情報に限ります。風説を流布するものではありません。ちなみに「ペイオフ」より「定額保護」のほうが正確のようですが。

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BAスキーム

 引き続き、古井俊之「一部定額保護下における金融機関の金月処理スキーム」より。
 破綻処理方法としては、金月処理の期間中に営業譲渡は行わず後日行うが、金月処理の期間中に基本合意契約だけは締結しておくことが予定されている。
 これが、従来考えられていたBスキーム(後日営業譲渡方式)で始まりAスキーム(金月一部営業譲渡方式)に移行する面を有するため、BAスキームと呼ばれているという。
 その趣旨は以下のとおりだと読み取れるが、かなり難解。

1)法的倒産手続(×私的整理)
 従来の全額保護下では、金融機関の破綻処理はすべて私的整理で行われたが、一部定額保護下では、私的整理で破綻処理を行うことは困難であることから、法的倒産手続の選択が予定されている。

2)営業継続(×営業停止)
 一方、破綻金融機関が完全に営業を停止してしまうと、金融機能が停止し、金融システム全体への信用が大きく傷つく危険があることから、営業停止は最後の手段とされ、いわゆる「金月処理」により、営業継続しながらの破綻処理が第一選択とされる。

3)被管理自身による営業継続→6か月後に営業譲渡(×金月処理期間中における営業譲渡の完了)
 とはいっても、月曜日までに受け皿銀行への営業譲渡の全部または一部を完了させるのは、秘密保持の観点等からして事実上不可能なので、しばらく(6か月を想定)は被管理金融機関自身において営業を継続して、しかる後に営業譲渡を行う。

4)金月処理期間中にブリッジバンクと営業譲渡の基本合意契約締結(×スポンサーないままの営業継続)
 破綻後の利息等、一部定額保護制度でカバーしきれない債務の支払をカバーするため、金月処理の期間中に、ブリッジバンク(第二日本承継銀行)との間で営業譲渡の基本合意契約を締結し、ブリッジバンクがこれを負担する。

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預金保険法と農水産業協同組合貯金保険法

 金融機関の破綻処理に備えて預金保険制度があり、それを担う組織として預金保険機構が存在することは広く知られているが、農水産業協同組合を対象とする類似の(別の)制度として農水産業協同組合貯金保険制度が存在し、それを担う組織として農水産業協同組合貯金保険機構が存在していることはあまり知られていないようである。
 なお、預金保険の対象となる金融機関、すなわち預金保険制度の保険料を負担している金融機関は以下のとおりである。


(預金保険法)
第2条 この法律において「金融機関」とは、次に掲げる者(この法律の施行地外に本店を有するものを除く。)をいう。
1.銀行法(昭和56年法律第59号)第2条第1項に規定する銀行(以下「銀行」という。)
2.長期信用銀行法(昭和27年法律第187号)第2条に規定する長期信用銀行(以下「長期信用銀行」という。)
3.信用金庫
4.信用協同組合
5.労働金庫
6.信用金庫連合会
7.中小企業等協同組合法(昭和24年法律第181号)第9条の9第1項第1号の事業を行う協同組合連合会(以下「信用協同組合連合会」という。)
8.労働金庫連合会

 そして、農水産業協同組合貯金保険の対象となる金融機関、すなわち農水産業協同組合貯金保険制度の保険料を負担している農水産業協同組合は以下のとおりである。

(農水産業協同組合貯金保険法)
第2条 この法律において「農水産業協同組合」とは、次に掲げる者をいう。
1.農業協同組合法(昭和22年法律第132号)第10条第1項第3号の事業を行う農業協同組合
2.農業協同組合法第10条第1項第2号の事業を行う農業協同組合連合会
3.水産業協同組合法(昭和23年法律第242号)第11条第1項第4号の事業を行う漁業協同組合
4.水産業協同組合法第87条第1項第4号の事業を行う漁業協同組合連合会
5.水産業協同組合法第93条第1項第2号の事業を行う水産加工業協同組合
6.水産業協同組合法第97条第1項第2号の事業を行う水産加工業協同組合連合会
7.農林中央金庫

 法庫:預金保険法
 法庫:農水産業協同組合貯金保険法

 預金保険機構
 農水産業協同組合貯金保険機構

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金月処理

 で、その「金月処理」(きんげつしょり)という言葉について、本論考では明確な定義が書かれていないが、要するに、「金」曜日の営業終了後に金融機関が破綻し、ただちに諸手続や各種準備作業を行うことにより「月」曜日の朝から営業を再開するという破綻処理の手法のことである。「金曜日18時に破綻し月曜日9時に営業再開する場合、その間63時間しかない」とある。
 金融機関の破綻に限らず、また、倒産に限らず、悪いニュースはできれば金曜夕方に公表するようにするとよくいわれる。3連休の前日だとさらによいのかもしれない。

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古井俊之「一部定額保護下における金融機関の金月処理スキーム」

 金融財政事情2004年6月28日号28頁。
 簡単に「ペイオフ解禁」というが、定期性預金についてはすでに2002年4月から全額保護でなくなっているので、全額保護に対して「一部定額保護」と称するのが正確である。本論考は、一部定額保護制度下における金融機関の破綻処理について、もっともわかりやすいものであるといっても過言ではない。
 過去10年間で170を超える金融機関が預金保険法に基づく破綻処理の対象となったとのことである。意外と多いという印象。

※このエントリで300件となりました。ご覧いただきありがとうございます。

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ペイオフ解禁

 こちらも重要。法的には、預金保険法附則6条の2の3と農水産業協同組合貯金保険法附則6条の3の2に定める特例の期限が満了したということになる。

預金保険法
(決済用預金に関する特例)
第六条の二の三  特定預金(附則第六条の二第一項第一号に規定する特定預金をいう。)であつて決済用預金に該当しないものについては、平成十五年四月一日から平成十七年三月三十一日までの間、決済用預金とみなす。この場合における第五十四条の二第一項の規定の適用については、同項中「元本の額(その額」とあるのは、「元本の額及び利息等の額の合算額(その合算額」とする。

農水産業協同組合貯金保険法
(決済用貯金に関する特例)
第六条の三の二  特定貯金(附則第六条の二第一項第一号に規定する特定貯金をいう。)であつて決済用貯金に該当しないものについては、平成十五年四月一日から平成十七年三月三十一日までの間、決済用貯金とみなす。この場合における第五十六条の二第一項の規定の適用については、同項中「元本の額(その額」とあるのは、「元本の額及び利息等の額の合算額(その合算額」とする。

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佐々木宗啓ほか「預金保険における名寄せについて」

 古い記事だが、判例タイムズ1083号(2002年4月1日号)61頁より。破産管財人名義等の預金の名寄せについての解説を見つけたので紹介する。

(前提)
・破産財団の法人格を認める
・破産管財人は、破産財団の管理処分権を有するにすぎない

(結論)
 現状の取扱い例(破産管財人甲が、複数の破産財団の預金を「A破産管財人甲」「B破産管財人甲」等の名義で設ける)によれば、破産財団ごとに名寄せされるため、
1)破産管財人に就任した甲個人に名寄せされることはない
2)複数の破産財団名義の預金間で名寄せされることもない
3)破産者の自由財産との間の名寄せもされない

(対策)
1)破産財団と破産管財人の個人資産の合計額
2)破産管財人を務める複数の破産財団の合計額
3)破産財団と破産者の自由財産の合計額
のいずれかが1000万円を超える場合であってもペイオフの問題を考慮する必要はないが、
4)ひとつの破産財団だけで1000万円を超える場合には対策を講じる必要がある
(という理解でよいだろうか?)

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