いわゆるフルペイアウト方式によるファイナンス・リース契約中の、ユーザーについて民事再生手続開始の申立てがあったことを契約の解除事由とする旨の特約が無効とされた事例

最高裁平成20年12月16日判決・判例時報2040号16頁(民集登載予定とのこと)
「本件特約のうち、民事再生手続開始の申立てがあったことを解除事由とする部分は、民事再生手続の趣旨、目的に反するものとして無効と解するのが相当である」
と判断して上告棄却。
被上告人の管財人代理をしていたので、最高裁に初めて「傍聴」(管財人は当事者でないので、あくまでも「傍聴」)に行ってきました。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

民事再生手続開始決定の後にした、再生債務者に対する同人所有の建物についての根抵当権設定の請求及び右請求についての再生手続の監督員に対する同意を求める請求がいずれも棄却された事例

大阪地裁平成20年10月31日判決・判例時報2039号51頁
請求棄却・原告控訴
再生債務者は民法177条の第三者に該当するとの判断。
原告は商工組合中央金庫。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

金融庁長官の申立てにより日本ファースト証券が破産

町村先生の宿題を解く週末。弥永先生のコメントのあとになり畏れ多いが・・・

Matimulog:bankruptcy:日本ファースト証券
NIKKEI NET:日本ファースト証券、金融庁が破産申し立て

記事によると「金融庁が14日に東京地裁に出していた日本ファースト証券(東京・中央)の破産申し立てが19日、受理された」ということだが、申立てが14日で受理が19日というのはどういう意味だろう?

根拠法は(もう答えが出てますが)金融機関等の更生手続の特例等に関する法律(更生特例法)でありますね。
模範六法には(当然)掲載されていないが「倒産・再生再編六法」にも掲載されていないのはこれ如何に(条文番号で560条まである、けっこう大規模な法律だから?)。

第1条(目的) この法律は、協同組織金融機関及び相互会社について、利害関係人の利害を調整しつつその事業の維持更生を図るためその更生手続に関し必要な事項を定めるとともに、金融機関等の更生手続、再生手続及び破産手続について、監督庁による申立て及び預金保険機構等による預金者等のためにするこれらの手続に属する行為の代理等に関し必要な事項を定めること等により、預金者等の権利の実現を確保しつつ、これらの手続の円滑な進行を図ることを目的とする。

(定義)
・協同組織金融機関:信用協同組合、信用金庫または労働金庫(法2条2項)
・金融機関:銀行または協同組織金融機関(法2条3項)
・銀行:銀行法2条1項に規定する銀行(普通銀行)と長期信用銀行法2条に規定する長期信用銀行(法2条1項)
・監督庁
(1)銀行、信用金庫、信用協同組合、証券会社、保険会社及び少額短期保険業者(保険業法2条18項に規定する少額短期保険業者)について→内閣総理大臣
(2)労働金庫について→内閣総理大臣及び厚生労働大臣

第1条だけを見ると証券会社は出てこないが、ここに出てくる。

第490条(破産手続開始の申立て等)第1項 監督庁は、金融機関、証券会社、保険会社及び少額短期保険業者に破産手続開始の原因となる事実があるときは、破産手続開始の申立てをすることができる。

(「破産手続開始の原因となる事実」について)基本事項ですが。。
破産法15条(破産手続開始の原因)
1 債務者が支払不能にあるときは、裁判所は、第30条第1項の規定に基づき、申立てにより、決定で、破産手続を開始する。
2 債務者が支払を停止したときは、支払不能にあるものと推定する。
(定義)
支払不能:債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態(略)をいう(破産法2条11項)
同法16条(法人の破産手続開始の原因)第1項
債務者が法人である場合に関する前条第1項の規定の適用については、同項中「支払不能」とあるのは、「支払不能又は債務超過(債務者が、その債務につき、その財産をもって完済することができない状態をいう。)」とする。


ところが、金融庁のリリース
金融庁:日本ファースト証券株式会社に対する行政処分等について
によると、
当社からの財務に関する報告によれば、当社は資産超過の状況となっており、店頭デリバティブ取引(外為証拠金取引)の顧客を含めた債権者に全額弁済できる可能性がある現時点において、顧客資産の保全等を図る必要があることから、金融庁長官が、金融機関等の更生手続の特例等に関する法律第490条第1項及び第495条第1項の規定に基づき、東京地方裁判所に対して、当社に対する破産手続開始の申立て及び保全管理命令の申立てを行いました。

とされており、債務超過でない(資産超過)と明言しているので、支払不能のほうで破産手続開始の申立てをしていると思われる。資産超過と支払不能が両立する例なのであろう。

伊藤眞「破産法・民事再生法」76頁より
「たとえ財産があっても、その換価が困難であれば、支払不能とされるし、逆に財産がなくても、信用や収入にもとづく弁済能力があれば、支払不能とはされない。この点で、支払不能は債務超過と区別される」
なお、
第548条(権限の委任) 内閣総理大臣は、この法律による権限(政令で定めるものを除く。)を金融庁長官に委任する。
ということなので、記事のうち「金融庁が14日に東京地裁に・・・」というのは、正確には「金融庁長官が14日に東京地裁に・・・」とすべきだろう(細かいツッコミですが)。上記の金融庁のリリースでは、
金融庁長官が、金融機関等の更生手続の特例等に関する法律第490条第1項及び第495条第1項の規定に基づき、東京地方裁判所に対して、当社に対する破産手続開始の申立て及び保全管理命令の申立てを行いました」
と正確に書いてある。

なお、同社は21日に破産手続開始決定を受けた模様。NIKKEI NETの記事
NIKKEI NET:日本ファースト証券、FX預かり資産「1―2割棄損の可能性」

によると、

「外国為替証拠金取引(FX)の不備で金融庁による破産手続き開始の申し立てを受けた日本ファースト証券(東京・中央)の破産管財人が21日、記者会見し、分別管理していなかったFXの預かり資産が「1―2割棄損する可能性がある」(破産管財人の宮川勝之弁護士)ことを明らかにした」
ということだが「・・・の不備で東京地裁による破産手続開始決定を受けた・・・の破産管財人が21日、記者会見し・・・」と書かないと「破産手続開始の申立てがあっただけ(破産手続開始決定を受けたと書いていない)なのにどうして(破産手続開始決定時に選任される)破産管財人が出てくるのだろう」という微妙な印象を受けてしまう。

NIKKEI NETで「日本ファースト証券」で検索しても上記2本の記事しかヒットせず、肝心の「日本ファースト証券が破産手続開始決定を受けた」という記載が見あたらないのも微妙。例えば、

時事ドットコム:日本ファースト証券が破産=負債総額15億円、債権者数700人

では「日本ファースト証券(東京)が21日、東京地裁から破産手続き開始決定を受けた」とはっきり書いてある。ただ「金融庁が顧客財産保全のため、破産を申し立てていた」という部分は正確には「金融庁長官が顧客財産保全のため・・・」となるが。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

倒産・再生再編六法〔2008年版〕―判例・通達・ガイドライン付―

00000459

以前にお手伝いをした本の改訂版が刊行された。
倒産法の実務家にとっては便利な六法である。

民事法研究会:新刊のご案内:倒産・再生再編六法〔2008年版〕―判例・通達・ガイドライン付―


| | Comments (0) | TrackBack (0)

ドイツにおける個人倒産手続等をめぐる倒産法の改正

旬刊商事法務1813号38頁。
ドイツにおいて、個人の免責手続を簡素化する内容の倒産法改正案が8月に閣議決定されたとのこと。
「債務者は6年間の監督期間内に職業につき、または、そのための努力をし、差押禁止財産となっていない給与の一定部分を信託受託者に信託譲渡し、そこから、債権者に弁済を続けるなどの義務を履行していれば、監督期間の経過後に裁判所が免責を決定し、残債については免除される」という。
連邦司法省の案では監督期間は8年とされていたということなので、6年でも簡素化方向であるが、こちらの感覚ではそれでも長いように思われるが・・・

しかし例によっての疑問だが、なぜ筆者が匿名なのかがわからない。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

破産実務Q&A150問(きんざい)

執筆の機会をいただいた。
まだ私のところに届いていないが、たぶんこの本だと思う・・・

破産実務Q&A150問|きんざいストア

内容について。
一般的に、メーリングリストを立ち上げて最初のうちは盛り上がっても、徐々に活力が失われてしまうことが多いが、全国倒産処理弁護士ネットワークのメーリングリストは今でも非常に活発である(たぶん運営者の努力のおかげだと思われる)。
そのメーリングリストで交わされた質疑や情報交換を再整理したのが本書である。
誰かの疑問はみんなの疑問であることが多い。
とすれば、「誰かの疑問」から生まれた本書は「みんなの疑問」に答える内容になっているはずであり、読者としても期待したい(自分の執筆部分以外はまだ読んでないので)。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

情報通信システム機器の売買契約は対価性を有する双務契約であり、メンテナンスが継続的に行われ、売買代金分割金の支払が完了していないのは双方未履行の状態であるところ、買主につき民事再生手続が開始された後、買主が監督委員の少額債権弁済許可を得ずに売買代金分割金を支払ったことは、黙示的に契約の存続を選択する旨の意思表示がされたものと認められ、売買代金債権が共益債権となるとされた事例

東京地裁平成18年6月26日判決(控訴)。判例時報1948号111頁。

※タイトルを一部変更

| | Comments (0) | TrackBack (0)

最新・債権管理・回収実務Q&A(143問)

季刊「事業再生と債権管理」(きんざい)116号特集。
一部執筆の機会をいただき、143問のうち2問を担当しています。
記事冒頭「金融機関の債権管理・回収業務をめぐる外部環境は、20世紀末から21世紀初頭の10年間に輩出した最新の立法・裁判実務によって、原型を見失うばかりに、激変を続けている」の「原型を見失うばかりに」という表現がすごい。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

取立訴訟において差押債権者と第三債務者との間で訴訟上の和解が成立していても、債務者の再生手続開始決定後には、差押債権者は和解による解決金の受領権限を有しないとされた事例

大阪地裁平成17年11月29日判決(確定)。判例時報1945号(12月11日号)72頁。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

ゴルフ場経営会社につき再生手続開始の申立てと更生手続開始の申立てが競合した場合において、再生手続きによることが債権者の一般の利益に適合するとし、更生手続開始の申立てを棄却することが相当とされた事例

大阪高裁平成18年4月26日決定。判例時報1930号(7月21日号)100頁。
更生手続開始申立棄却決定に対する抗告事件→抗告棄却→確定

| | Comments (0) | TrackBack (0)

より以前の記事一覧