山田庸男「不動産競売/再び暴力団の介入許すのか」

朝日新聞2月19日付け「私の視点」

山田氏の現在の肩書は大阪弁護士会会長・日本弁護士連合会副会長であるが、日本弁護士連合会民事介入暴力対策委員会の元委員長であり、民事介入暴力対策分野での第一人者のひとりである。

この論考は、政府の規制改革会議が昨年12月に公表した第2次答申に盛り込まれている「不動産競売の民間開放の検討」に対する、民暴対策の観点からの反対論であり、私も賛成である。

この論考にもあるように、競売手続の歴史は、悪質な「競売屋」を排除することにより、一般市民や企業が安心して利用することを可能とし、その結果として、より公正な価格が形成されるようになり、債権者や債務者といった直接の当事者にとっても納得感が高まる手続に近づくための制度改正の歴史といっても過言ではない。

もちろん、担保物件の売却に際しては、必ず競売手続を利用しなければならないわけではなく、この手続を用いずに関係者の話し合いで任意売却を行うことも可能であり、むしろ実務的には任意売却が主流であり原則的形態である。競売手続は、当事者間で任意売却交渉が成立しない場合や、紳士的な交渉を阻害する要因(反社会的勢力が介在する場合が典型例である)があって、そもそも任意売却になじまない場合の「最後の受け皿」としての役割を果たしている。

手続が法定されている競売手続だけを見ることや、競売手続と任意売却を単に並列的に比較するのではなく、このように、任意売却と競売手続の役割分担を実情に基づいて動的に把握することができれば「競売手続が任意売却と比較して費用と時間がかかる」というような、それだけでは何の意味もない批判(「訴訟は交渉より費用と時間がかかる」と言っているのと同じことである)は出てこないはずである。

債権者側に反社会的勢力が介在してくることも珍しくない。この10年の間に急速に進んだ法整備により確実に排除されつつある反社会的勢力は、「民間開放」の動きに諸手を挙げて賛成し、その実現を首を長くして待っているという。長い時間をかけて1本ずつ抜いてきた牙を猛獣にまとめて返すような動きには疑問を感じざるを得ない。

もっとも、現時点の競売手続が完成されていて一切の改善の余地がないというつもりもない。「民間開放」推進論者が指摘する競売制度の問題点を個別に検討してさらなる改善につなげていくのが適当であろう。

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「動産担保融資事例集」(銀行研修社)

一部執筆の機会をいただいた。
たくさんの事例が紹介されていて、参考になる。
私の取扱分野との関係では、債務不履行が生じた場合の対応や債務者が倒産した場合の対応がどうなるかに興味がある。

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強制執行を受けた債務者がその請求債権につき強制執行を行う権利の放棄または不執行の合意があったことを主張して裁判所に強制執行の排除を求める場合には請求異議の訴えによるべきとした事例

最高裁平成18年9月11日決定。判例時報1952号92頁
民集登載予定

執行抗告又は執行異議の方法によることはできないと判断した。判例変更。

(判例時報の記事タイトルを一部変更してあります)

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登録自動車を目的とする民法上の留置権による競売において、民事執行法181条1項1号所定の「担保権の存在を証する確定判決」としては、債権者による登録自動車の占有の事実が主要事実として確定判決中で認定されることは必要ないとされた事例

最高裁平成18年10月27日決定。判例時報1951号63頁。
民集登載予定

X→Y駐車場使用契約に基づく駐車料金等の支払請求を認容した確定判決
X、Yの車両を占有
X、上記判決が民事執行法181条1項1号所定文書に該当するとして、留置権に基づく競売開始の申立て
(原原決定)競売申立て却下
(原決定)執行抗告棄却
本件確定判決においては、留置権が訴訟物自体または訴訟物である権利関係の発生原因若しくは抗弁となっているものではなく、留置権の存在を「証する」判断が明示されているとはいえない

(本決定)破棄自判
・民法上の留置権の成立要件は「目的物と牽連性のある債権の存在」と「目的物の占有」である
・このうち「目的物の占有」については、権利行使時に存在することを要し、かつそれで足りる
・登録自動車を目的とする留置権による競売においては、執行官が登録自動車を占有している債権者から競売開始決定後速やかにその引渡しを受けることが予定されており、登録自動車の引渡しがされなければ競売手続が取り消されることになる
・民事執行法181条1項1号所定の「担保権の存在を証する確定判決」としては、債権者による登録自動車の占有の事実が主要事実として確定判決中で認定されることが要求されるものではない
・登録自動車を目的とする民法上の留置権による競売においては、その被担保債権が当該登録自動車に関して生じたことが主要事実として認定されている確定判決であれば、民事執行法181条1項1号所定文書に当たると解するのが相当である

(判例時報の記事タイトルを一部変更してあります)

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譲渡担保権者の債権者が被担保債権の弁済期後に目的不動産を差し押さえた場合において設定者が第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることはできないとされた事例

最高裁平成18年10月20日判決。判例時報1950号69頁。
民集登載予定

(事実関係)
・A→Xの貸金債権を担保するため、X所有不動産に譲渡担保を設定(X→A所有権移転登記)。
・貸金債権の弁済期経過
・Aの債権者Yが当該不動産について強制競売申立て→差押登記
・その後、X→A債務全額を弁済して、A→X所有権移転登記。
・X→Y第三者異議の訴えを提起

(本判決)
不動産を目的とする譲渡担保において、被担保債権の弁済期後に譲渡担保権者の債権者が目的不動産を差押え、その旨の登記がされたときは、設定者は、差押登記後に債務の全額を弁済しても、第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることはできないと解するのが相当である。

(判例時報の記事タイトルを一部変更してあります)

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第三債務者が、仮差押命令の送達を受けた時点で、仮差押えの対象となった債権の弁済のために取引銀行に対し先日付振込の依頼をしていたというだけでは仮差押命令の弁済禁止の効力を免れることはできないとされた事例

最高裁平成18年7月20日判決。判例時報1947号58頁。
破棄差戻し。民集登載予定

<事案>
X→A→Y(Aの勤務先)
平成13年12月26日:Y、Aの退職金につき銀行に先日付振込を依頼
同月27日:Y、Xの申立てによる仮差押命令の送達を受ける
同月28日:銀行が振り込みを実行

<本判決>
「取引銀行に対して先日付振込の依頼をした後にその振込に係る債権について仮差押命令の送達を受けた第三債務者は、振込依頼を撤回して債務者の預金口座に振込入金されるのを止めることができる限り、弁済をするかどうかについての決定権を依然として有するというべきであり、取引銀行に対して先日付振込を依頼したというだけでは、仮差押命令の弁済禁止の効力を免れることはできない。そうすると、上記第三債務者は、原則として、仮差押命令の送達後にされた債務者の預金口座への振込をもって仮差押債権者に対抗することはできないというべきであり、上記送達を受けた時点において、その第三債務者に人的又は時間的余裕がなく、振込依頼を撤回することが著しく困難であるなどの特段の事情がある場合に限り、上記振込による弁済を仮差押債権者に対抗することができるにすぎないものと解するのが相当である」

※タイトルを一部変更

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最新・債権管理・回収実務Q&A(143問)

季刊「事業再生と債権管理」(きんざい)116号特集。
一部執筆の機会をいただき、143問のうち2問を担当しています。
記事冒頭「金融機関の債権管理・回収業務をめぐる外部環境は、20世紀末から21世紀初頭の10年間に輩出した最新の立法・裁判実務によって、原型を見失うばかりに、激変を続けている」の「原型を見失うばかりに」という表現がすごい。

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取立訴訟において差押債権者と第三債務者との間で訴訟上の和解が成立していても、債務者の再生手続開始決定後には、差押債権者は和解による解決金の受領権限を有しないとされた事例

大阪地裁平成17年11月29日判決(確定)。判例時報1945号(12月11日号)72頁。

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根抵当権の目的不動産に再生債務者と第三者所有の不動産が含まれ、これらが全体としてぱちんこ遊技場として利用されている場合、全不動産について担保権実行の中止命令を発令するのは相当でないとされた事例

福岡高裁平成18年2月13日決定。判例時報1940号(11月1日号)128頁。
競売手続中止命令に対する即時抗告事件→原命令取消し→特別抗告

・再生債務者以外の第三者が所有する不動産について競売手続を中止することはできない
・第三者所有部分についてだけ中止命令を取り消しても「実質的には全物件について中止命令を維持したのと変わらないことにもなりかねない」「したがって(第三者が所有する)物件・・について中止命令を取り消さざるを得ないのであれば、この際は全物件について取り消すこととするのが相当である」

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債権譲渡登記の債権個別事項において原債権者と債務者とを逆に記載した場合において、対抗力が否定された事例

東京高裁平成18年6月28日判決(上告)。判例時報1936号(9月21日号)82頁。
(タイトル一部修正)
誤記をしないように気をつけよう。

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高木新二郎「事業再生の近未来・破綻倒産前再構築-事業再生新立法の提案」

法曹時報第58巻第9号。著者の高木先生から(おそれ多くも)献本をいただいた。
ワークアウト(裁判所外私的整理)の活用により、早い段階(法的倒産手続の開始要件を充足しない段階)で事業再生に着手することができる。したがってそれは「倒産」「破綻」ではない。倒産法・会社法の改正により事業再生の選択肢が増え、金融機関による金融支援(債権放棄等)の基準も整備され、税制も改正されて、ワークアウトを活用する環境も整いつつある。
しかしその最大の問題点は、対象債権者全員の同意が必要であることだ。これはワークアウトが法的倒産手続でない以上、当然のことであるが、同意を取り付けることに失敗した場合には、法的倒産手続に移行せざるを得ず、その場合に、ワークアウト期間中に負担した商取引債権とDIPファイナンス債権をどう取り扱うかが問題となる。教科書どおりに考えると、それらは破産債権(再生債権・更生債権)として、他の債権と同様にカットの対象となってしまうが、それではワークアウトへの協力に躊躇せざるを得ず、ワークアウト自体が円滑に進まない。
この問題に対応するために、3つの提言が紹介されている。
1)事業再生新立法案(著者はこの提言に賛同している)
この立法においても、不同意の債権者が異議申立てをした場合には再建計画は効力を失うものとせざるを得ないと考えられるが、その場合であっても、先行する私的整理中に負担した債権の共益性が認められることが期待できるという。
2)特定調停法一部改正案
または、現行特定調停法の柔軟な運用で足りるのではないかという意見もある。
3)認証機関設置案
権限や、法的倒産手続に移行した場合の意義に問題がある。

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河野玄逸・北秀昭編「担保の法律相談」(青林書院)

河野玄逸・北秀昭編「担保の法律相談」(青林書院)
新刊です。一部執筆の機会をいただきました。
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内海順太「預金債権の(仮)差押えと取扱店舗の特定」

金融法務事情1775号(7月5日号)26頁。
現在の実務(特定必要説)を支持する立場を鮮明にした論考。
たしかに、預金保険事故に備えて構築されている名寄せシステムがあるからといって(仮)差押手続で特定不要だとするのは乱暴な議論だといわざるを得ない。

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奥国範「預金債権の(仮)差押えと取扱店舗の特定の要否-東京高決平成17・10・5」

NBL834号(6月1日号)34頁。

現在の実務(特定必要説)を支持する立場からの論考。
たしかに、債権(仮)差押えについては、中立的立場の第三債務者にどれだけの負担をかけてよいかという観点が重要である。

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保険診療機関、指定医療機関等の指定を受けた病院又は診療所が社会保険診療報酬支払基金に対して取得する診療報酬債権は、民事執行法151条の2第2項に規定する「継続的給付に係る債権」に該当するとされた事例

最高裁平成17年12月6日決定。判例時報1925号103頁。
(内容がわかるようにタイトルを若干変更しました)

個人開業医を執行債務者として「扶養義務等に係る定期金債権を請求する場合の特例」(民事執行法151条の2)を使う場合に有効。

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阿部耕一「取扱店舗を特定しない(または複数の支店を特定範囲とする)預金債権の差押えに対する金融実務の実状」

金融法務事情1771号(5月25日号)30頁。
差押債権者の立場では「どうにかならんか」と思うことが多いが、そう簡単ではなさそうである。

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譲受債権の請求において、債権譲渡における債務者対抗要件欠如の主張が、信義則に反して許されないとされた事例

東京地裁平成17年6月7日判決(確定)。判例時報1922号(5月11日号)92頁
・AはY1に対して金銭を貸し付け、Y2はY1の債務を連帯保証。
・Y2はY1の代表者。
・A→B→C→Xと順次債権譲渡。
・Cは、名宛人としてY2の氏名が記載されている債権譲渡通知書を発信し、これがY2に到達。
本判決は、本件通知書が実質的には(Y2を代表者とする)Y1に対する通知も兼ねる趣旨で記載されたものであるとの原告主張を排斥したが、債権譲渡が有効に行われたことを前提として交渉がなされていた経緯を踏まえて、信義則違反の主張(再抗弁)を認めて原告の請求を認容した。

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不動産競売の対象建物に入居して暴力団事務所として使用し、かつ同建物の敷地の一部を取得したことが、競売を妨害し、競売対象不動産の担保権者に対する不法行為となるとされた事例/右不法行為によって、担保権者は、競売対象不動産の交換価値の減少額相当の損害を被ったとし、最低売却価額の変動を基準として同減少額が算定された事例

福岡高裁平成17年6月14日判決(確定)。判例時報1922号(5月11日号)86頁。
原判決は被告らの共同不法行為を認めたが、原告(整理回収機構)の損害論主張を退けたので原告が控訴していた。被告は附帯控訴しているが代理人はついていない模様。
本判決は、原判決と同様に共同不法行為を認定するとともに、控訴人(原告)の損害論主張を認めて原判決を変更し原告の請求を全部認容。

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異議申立預託金の返還請求権に対する差押えが競合した場合に、第三債務者が民事執行法156条2項に基づき差押債権を供託しなかったとしても、差押債権者に対して不法行為責任を負わないとされた事例

高松高裁平成17年6月16日判決(上告)。判例時報1921号(5月1日号)78頁。

B社:本件手形の振出人
X:本件手形の所持人
Y銀行(徳島銀行):本件手形の支払呈示を受けるが、契約不履行を理由に支払拒絶

B社→Y銀行に対し、異議申立提供金の資金として本件手形金と同額の異議申立預託金を預託
Y銀行→徳島手形交換所に本件異議申立提供金を提供

X→B社:債務名義を取得して、本件預託金返還請求権に対する差押決定を受ける
A社→B社:公正証書に基づき、本件預託金返還請求権に対する差押決定を受ける

B社:その後、破産宣告を受けてC弁護士が破産管財人となる

C管財人→Y:本件預託金の払い戻しを依頼
Y→徳島手形交換所:異議申立ての取下げを理由とする本件異議申立提供金の返還請求をして、払い戻しを受ける
Y→C管財人:本件預託金を返還

X→Y:本件預託金を供託せずにCに交付したことがXに対する不法行為にあたるとして損害賠償を請求
原審:一部認容

(本判決)
・第三債務者の供託義務は、第三債務者の実体法上の地位に何らの変更を加えるものではない。したがって、第三債務者の執行債務者に対する債務の弁済期が未踏雷である場合には、たとえ差押え等の競合が生じたとしても、第三債務者は期限の利益を喪失させられるわけではなく、依然として執行債務者に対して期限の利益を有するから、供託義務を負うものではない。
→原判決取消し・(予備的)請求棄却・控訴棄却

※差押債権者としては、第三債務者(銀行)に対して、
・差押命令送達届提出依頼書を提出し
・本件手形の現物及び本件債権差押命令正本の送達通知書を提示し、
本件債権差押命令正本及び手形訴訟の判決正本により、請求債権が異議申立てにかかる不渡手形(本件手形)債権であることを確認させた後でなければ異議申立提供金の返還を求めることはできない

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将来の産業廃棄物の撤去作業により発生すべき事務管理に基づく費用償還請求権は、被保全権利としての適格性を認めることはできないとされた事例

福岡高裁平成17年7月28日(確定)。判例時報1920号42頁。
将来発生する債権については、その発生の可能性と内容の確定性を具体的に根拠付ける法律関係が現存しなければならないとする判例・通説に基づき、本件における被保全権利性が否定されたもの。
(以下私見)
ただ、判例通説においても、将来発生する債権について、その発生の可能性と内容の確定性を具体的に根拠付ける法律関係が現存すれば被保全権利性が認められる余地はある。
とすれば、事例によっては、本件のような「将来の産業廃棄物の撤去作業により発生すべき事務管理に基づく費用償還請求権」であったとしても、被保全権利性が常に否定されるわけではないということになろう。
しかし、本件では「撤去義務者である相手方の態度からして、そのような事態(=撤去義務者が任意に撤去しないため、抗告人が自ら撤去作業をする事態)に立ち至る蓋然性は高いということはできる」とまで認定されているが、それでも「それだからといって、事の本質は何ら変わらない」と結論づけており、どのような具体的状況であれば被保全権利性が認められるかについては明らかでない。
なお、抗告人は地方自治体(福岡県)。

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不作為を目的とする債務の強制執行として間接強制決定をするために債権者において債務者の不作為義務に違反するおそれがあることを立証すれば足り、債務者が現にその不作為義務に違反していることを立証する必要はないとした事例

最高裁平成17年12月9日決定。判例時報1920号(4月21日号)39頁。

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根抵当権者が競売の申立ての際に提出した当該根抵当権の登記のほかに譲渡担保を原因とする同人への所有権移転登記が記載されている登記簿謄本が法定文書(民事執行法181条1項3号)に該当するとした事例

最高裁平成17年11月11日決定。判例時報1919号(4月11日号)103頁。

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坂井秀行「流動資産担保の枠組みと今後の展望」

季刊・事業再生と債権管理112号(2006年春号)90頁。
流動資産担保化の動きへの批判に対して「ミクロ的には、こうした債権者(共益債権的な性格を有するが無担保の債権者)を救済する実務運用は追及されるべきでしょう。しかしマクロ的には、動産・債権担保融資が今後健全な発展を遂げ、こうした弊害を大きく上回るメリットをもたらすか否か、という観点から検討すべき問題ではないか」と述べているが同感である。

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債権差押命令において預金債権を差し押さえる場合の取扱店舗の特定

金融法務事情1767号(4月5日号)26頁。
当然特定しなきゃと思っていたら、最近「ペイオフ解禁に伴い全金融機関で名寄せのシステムが整備されているのだから、取扱店舗を特定しなくても(仮)差押えの効力が及ぶ預金債権を検索することは容易である」との主張がなされ、一部にはその主張を認める高裁レベルの裁判例もあるという。
その裁判例の中には東京高裁のものもあるのだが、東京地裁民事執行センターは、現時点ではその主張を採用せず、従来どおり、取扱店舗の特定を必要とする取扱いを維持するとのこと。すごいなあ>目黒の人たち

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執行債権が第三者により仮差押えされても、執行債務者は、強制執行としての債権差押命令の取消しを求めることはできないとされた事例

大阪高裁平成17年7月6日決定。判例時報1918号(4月1日号)21頁。
(メモ)
A→X→Y→B(Yの勤務先)

X:Yに対する損害賠償債権に基づいて、YのBに対する給与債権について債権差押命令を得る。
A:Xに対する損害賠償債権(代位取得)に基づいて、XのYに対する損害賠償債権について仮差押命令を得る。

・仮差押えによっても、債務者(X)が訴訟提起や訴訟追行をして債務名義を取得することや、取得した債務名義により強制執行をすることは妨げられない。
・仮差押債権者(A)は、強制執行が行われたときに、当該債権が仮差押えされていることを執行上の障害として執行機関に呈示し、その執行手続の進行を阻止できる。
※ただし、これを「執行障害」と呼ぶのは当を得ないとの指摘あり(中野貞一郎「民事執行法」[新訂4版](青林書院)146頁)
・執行債権が仮差押えされた旨の文書は執行取消文書にあたらない。
・また、債権差押命令の発令前に仮差押命令正本の提出はなかったので、執行手続の進行を阻止することもできない。

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同順位の根抵当権者の1人が提出した不動産競売事件の申立書の被担保債権及び請求債権の部分における「金8億円 但し、債権者が債務者に対して有する下記債権のうち、下記債権の順序に従い上記金額に満つるまで」との記載が被担保債権の一部について担保権の実行をする趣旨の記載ではないとされた事例

最高裁平成17年11月24日。金融法務事情1766号(3月25日号)57頁。

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岡正晶「執行裁判所の過失に基づく国家賠償責任につき、配当を受けられなかった差押債権者に5割の過失相殺を認めた高裁判決を破棄し、国が全額の責任を負うとした最高裁判決-最一判平成18・1・19」

NBL829号(3月15日号)6頁。
※判例時報1923号(5月21日号)41頁に判決文掲載

動産引渡請求権に対する強制執行事件では、後行の差押債権者としては、陳述催告を行い、先行の差押えがなされているか否かを確認する必要がある。そもそも、陳述催告を受けての第三債務者の陳述がなければ、先行の差押えがあること(自らが後行の差押債権者であること)はわからない。
※金銭債権執行では、差押えが競合した場合には義務供託となるので、競合した事実を知ることができるが、動産引渡請求権に対する強制執行事件ではそのような制度的保障がない。
そして、自らが後行の差押債権者であることを知った者には、それ以上の義務、例えば、先行事件の執行裁判所に問い合わせをするなどして、その執行裁判所に競合の事実を知らせる義務はないとしたのが本判決のポイント。

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管理費の滞納のある区分所有建物を競売により買い受けた者が、滞納管理費を管理組合に支払った場合、元の所有者に対して求償することができるとされた事例

東京高裁平成17年3月30日判決。判例時報1915号32頁。

「債務者たる当該区分所有者の債務とその特定承継人の債務とは不真正連帯債務の関係にあるものと解される」
「当該区分所有者と競売による特定承継人相互間の負担関係については、特定承継人の責任は当該区分所有者に比して二次的、補完的なものにすぎないから、当該区分所有者がこれを全部負担すべきものであり、特定承継人には負担部分がないものと解するのが相当である」

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荒木新五監修「判例・実務債権管理」(商事法務)

 企業の若手法務・審査担当者向け。
 弁護士としても、法務担当者に求められる水準を知ることができるので、法務担当者向け研修を行うときなどには参考になる。
 そういえば、私自身「取り込み詐欺」といった言葉をきちんと覚えたのは弁護士になってからだと思い出した。司法修習生や新人弁護士が読んでも参考になるだろう。

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仮執行宣言付判決の上訴に伴い執行停止の申立てがされ執行停止を受けたことにより損害賠償を請求するには、執行停止の申立てが不法行為に当たることを主張立証しなければならないとされた事例

 福岡高裁平成17年5月18日判決。判例時報1914号98頁。
 上告されたとのことであり、結果が注目される。

<要旨>
1)仮処分命令の場合、仮処分命令が異議もしくは上訴手続において取り消され、あるいは本案訴訟において原告敗訴の判決が言い渡され、その判決が確定した場合には、他に特段の事情がない限り、仮処分申立人に過失があったものと推定される(最高裁判決昭和43年12月24日・民集22・13・3428)。

2)仮執行宣言付判決に対する控訴提起に伴う執行停止の場合には、仮処分命令の場合と異なり、過失の推定はできない。

[理由1]民訴法398条1項3号(現・403条1項3号)の文理解釈
[理由2]民事保全は一般に疎明によって発せられ、口頭弁論を経ず、さらには相手方の審尋を経ないで一方的に発せられることが少なくなく、このような民事保全によって被った損害を相手方が受任しなければならない理由はない/控訴の提起に伴う執行停止の場合、第一審の訴訟手続において当事者双方には争う機会が与えられており、また、三審制において控訴を提起することを当事者は権利として認められているにもかかわらず、控訴審で敗訴したからといってその当事者において過失があったものと推定することになると控訴を提起して裁判所の紛争の解決を求めることを実際上拒否することにもなりかねないから

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第三債務者は、債権仮差押命令の送達を受ける前に、債務者に対する債務支払のために債務者の指定する銀行口座への振替送金を金融機関に依頼した場合には、右送達後に金融機関による債務者への送金手続がされたとしても、特段の事情がない限り、債務の消滅を仮差押債権者に対抗することができるとされた事例

 東京高裁平成15年10月22日判決。判例時報1914号91頁。
 記事によると上告されたようだが、すでに控訴審判決から2年以上経過している。上告審はどうなったのだろうか。

(事案)
 X(仮差押債権者)→A(債務者)→【退職金債権】→Y(Aの元勤務先)

・平成13年12月26日(水)Yは銀行に振り込み送金依頼
・平成13年12月27日(木)午前11時ころ、債権仮差押決定正本がYに送達される
※なお、この日はYの仕事納め日であった(終業予定時午後0時15分)。
・平成13年12月28日(金)銀行はAに振り込み送金を実施

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競売対象建物の関係者の中に暴力団幹部がいることを執行裁判所が把握しながらその点を物件明細書や現況調査報告書に記載しなかったことが物件明細書の作成及び売却手続に重大な誤りがあるとして、抗告審において売却許可決定が取り消された事例

 東京高裁平成17年8月23日決定。判例時報1910号(1月11日号)103頁。

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不動産について被担保債権を共通にする第一順位と第三順位の根抵当権を有する債権者が、両根抵当権に基づいて当該不動産の賃料について物上代位による債権差押えを行い、これを取り立てた後に、当該不動産が担保権実行により競売された場合、賃料を取り立てた債権者は、当該不動産の売却代金の配当手続において「上記賃料の取立ては第三順位の根抵当権に基づいて行ったものである」旨主張することができるか(消極)

 大阪高裁平成17年2月25日判決(上告受理申立→不受理決定)。金融法務事情1757号35頁。

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金融機関の4ないし37の本店及び支店を列挙しこれに順序を付して仮差押債権である預金債権を表示する方式による仮差押命令申立てが仮差押債権の特定に欠けるものとして不適法とされた事例

 東京高裁平成17年9月7日決定(確定)。判例時報1908号137頁。

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法務省、担保不動産競売の迅速化のために民間開放を検討

 日本経済新聞12月5日付夕刊。
 どうなるのだろう??

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MMFの受益証券の購入者を債務者、販売会社を第三債務者、MMFの受益証券に係る解約返戻金債権を差押債権とする差押命令による解約返戻金支払請求の可否(消極)

 東京高裁平成17年4月28日判決(上告)。判例時報1906号54頁。

 債権者X→債務者A(MMF受益証券購入者)→第三債務者Y(MMF販売者)
 X:MMF受益証券に係る解約返戻金債権を差押債権として債権差押転付命令取得・取立訴訟提起。
 第一審はXの請求を認容したが、控訴審は原判決取消・請求棄却。

 A→(投資信託総合取引規定に基づく解約の実行請求)→Y
 Y→(証券投資信託受益証券の募集・販売に関する契約に基づく通知)→信託委託者B
 信託委託者B→(追加型証券投資信託約款に基づく解約)→受託者C(信託銀行)

「販売会社Yは、解約の手続において、委託者Bに対して解約の実行請求を通知するとともに、一部解約返戻金が委託者Bから交付されたときに受益者Aに交付する義務を負うにすぎないものであって、本件信託契約を解約することができる適格に欠ける」
「Aにおいて、Yに対して解約返戻金支払請求権を有するものではないから、Xにおいて、本件差押債権として、本件受益証券に係る解約返戻金請求権を取得することができず、当該差押えの権能として、Bに対して解約の意思表示をすることも、また、Yに対して解約の実行請求をすることもできない」

 で、どうすりゃいいのかというと、
「XがAに対する債権者代位権に基づき、Yに対して、Bに対する解約実行の通知をすることを請求し、さらにはYが解約返戻金の交付を受けたときにその給付を請求する方法があり得る」
とのこと。

 問題は、Xは東京地裁民事執行センターの取り扱いに基づいてこのような手続を行った模様であること。
 東京地裁の取扱いは、水谷里枝子「投資信託受益権に対する執行」(西岡清一郎ほか編「民事執行の実務」(下)165頁)で紹介されているが、本判決はこの取り扱いを否定するものであり、記事コメントもこの取り扱いが疑問であると述べている。
 上告審での判断及び東京地裁の今後の対応が注目される。

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杉浦正典「東京地裁保全部における仮差押命令申立事件の運用の変更点」(上)

 金融法務事情1752号(10月15日号)16頁。
 こういう公式発表ものの記事は「東京地裁保全部公式blog」みたいなものを作ってそこで公表したらどうか。

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賃貸人が、賃借人の賃料不払を理由に建物賃貸借契約を解除した後に、建物の鍵を交換したことについて、違法な自力救済として不法行為が成立するとした上、賃借人に損害が生じたとはいえないとして、賃借人の損害賠償請求が棄却された事例

 東京地裁平成16年6月2日判決。判例時報1899号(9月21日号)128頁。
 内容はタイトルのまんま。結論は請求棄却であるが、損害発生が常に否定されるとは限らない。

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競売土地・建物の買受人において、建物の一部が件外土地にはみ出して存立していて、件外土地の所有権を取得したという第三者が競売建物の所有者に対して建物収去土地明渡請求訴訟を提起していることが民事執行法75条1項にいう「損傷」に当たるとして、売却許可決定の取消しを申し立てた場合に、当該第三者が執行妨害を企図したものにほかならないとして、買受人の申立てが却下された事例

 千葉地裁平成17年4月19日決定・判例時報1897号84頁。
 解説コメントによると、買受人は、この却下決定を受けて、別件建物収去土地明渡請求訴訟に「進んで応訴することになった」という。熱い解説コメントに注目。

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特集・民事法大改正レビュー/担保権・債権の実相キーワード20講

 季刊事業再生と債権管理109号。
 20講のうちどれかを紹介しようと思ったが、甲乙つけがたいのでまとめて紹介。

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不動産競売事件について二重開始決定がされている場合、先行事件を基準とすれば無剰余であっても、後行事件を基準とすれば剰余があるときには、先行事件の競売開始決定を取り消すことはできないとされた事例

 名古屋高裁平成16年12月7日決定。判例時報1892号37頁。
 このような取扱は、解説コメントが指摘するように、東京地裁民事執行実務研究会編「改訂不動産執行の理論と実務」(下巻)599頁に書いてあるのだから、なぜ原審が取り消したのか不思議である。

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(1)所有者から占有権原の設定を受けて抵当不動産を占有する者に対して抵当権に基づく妨害排除請求をすることができる場合、(2)抵当権に基づく妨害排除請求権の行使にあたり抵当権者が直接自己への抵当不動産の明渡しを請求することができる場合、(3)第三者による抵当不動産の占有と抵当権者についての賃料額相当の損害の発生の有無

 最高裁判決平成17年3月10日。金融法務事情1742号(6月25日号)30頁。
 最高裁大法廷判決平成11年11月24日では、傍論で、無権原占有者について抵当権に基づく妨害排除請求を認めると判示されたが、本件では「無権原占有者」ではなく、所有者の使用収益権に由来する転借権を有すると見られる者に対する妨害排除請求が認められた点が特徴的である。

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動産売買の先取特権者による物上代位権の行使と目的債権の譲渡

 最高裁平成17年2月22日判決。判例時報1889号46頁。
 抵当権者の場合は、物上代位の目的債権が譲渡され、第三者に対する対抗要件が備えられた後においても、自ら目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができるとされていた(最高裁平成10年1月30日判決)が、動産売買の先取特権者の場合はダメ、とされた。公示方法の有無が両者を分けるポイント。
(判旨)
 動産売買の先取特権者は、物上代位の目的債権が譲渡され、第三者に対する対抗要件が備えられた後においては、目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することはできないものと解するのが相当である。

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定期金の給付を命ずる仮処分の執行と民事保全法43条2項

 最高裁平成17年1月20日決定・判例時報1888号91頁。
 このように解すると、毎月保全執行の申立てをしなければならなくなるが、やむを得ないのだろう。
(傍線部分)
 民事保全法43条2項は、定期金の給付を命ずる仮処分の執行についても適用され、仮処分命令の送達の日より後に支払期限が到来するものについては、送達の日からではなく、当該定期金の支払期限から同項の期間を起算するものと解するのが相当である。

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不動産を目的とする一個の抵当権が数個の債権を担保しそのうちの一個の債権のみについての保証人が当該債権にかかる残債務全額につき代位弁済した場合において当該抵当不動産の換価による売却代金が被担保債権のすべてを消滅させるに足りないときの上記売却代金からの弁済受領額

 最高裁判決平成17年1月27日・判例時報1887号39頁。

1)「保証人が一個の被担保債権の一部につき代位弁済した場合」においては、債権者が代位弁済者に優先するとするのが判例である(最高裁判決昭和60年5月23日民集39・4・940)。
2)では「保証人が数個の被担保債権のうち一個の被担保債権の全部につき代位弁済した場合」にどうなるか。
3)債務者(の更生管財人)は、債権者を優先させず、代位弁済者と案分で弁済した。そのため、債権者が代位弁済者を被告として不当利得返還請求訴訟を提起した。
4)一審と原審は(2)の場合にも(1)の判例により債権者を優先させるのが相当であるとして原告の請求を認容し・被告からの控訴を棄却した。
5)しかし、最高裁は(2)の場合には案分弁済するのが相当であるとして、破棄差し戻しした。

(理由)なぜなら、この場合は、民法502条1項所定の債権の一部につき代位弁済がされた場合とは異なり、債権者は、上記保証人が代位によって取得した債権について、抵当権の設定を受け、かつ、保証人を徴した目的を達して完全な満足を得ており、保証人が当該債権について債権者に代位して上記売却代金から弁済を受けることによって不利益を被るものとはいえず、また、保証人が自己の保証していない債権についてまで債権者の優先的な満足を受忍しなければならない理由はないからである。

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浦野雄幸編「基本法コンメンタール第5版/民事執行法」(日本評論社)

 会社法も同じだが、民事執行法も改正のスピードについて行ける注釈本がなかなかない。
 そんなときに平成15年改正法対応の本書が刊行された(3月10日発売)。すでに平成16年改正法もあり、破産法も不動産登記法も民法も改正されているところ、十分には対応していないようであるが、むしろ同情すべきであろう。買ったそばから次回改訂を期待するということになるが、それでも買わないわけにはいかない。

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日本執行官連盟「新民事執行実務」3号

 3月といえば、日本執行官連盟が年に1回出版する「新民事執行実務」が発行される月である。
 どの記事も興味深いが、今回は、あるレポートの締め切りが過ぎている(すみません>関係者各位)ので、明渡しの催告の制度化について書かれてある部分を拾い読み。
 何の説明もなく「新明引制度について」という小見出しがついているが、何と読むか?
(答えは後日)

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債務者不特定の民事執行法上の保全処分と内覧実施は各1件

 谷口園恵「東京地裁における平成15年改正担保・執行法の運用状況」金融法務事情1720号7頁。
 本年4月から8月までの運用状況が報告されている。
 なお、財産開示の申立て件数は64件。財産開示期日が実施された件数は不明。開示義務者の正当な理由のない不出頭を理由とする過料事件は9件が立件されたとのこと。

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不動産競売における最低売却価額の売却基準価額への変更等は衆議院法務委員会で閉会中審査

民事関係手続の改善のための民事訴訟法等の一部を改正する法律案の議案審議経過情報

 なお「閉会中審査」の説明はこちら

閉会中審査
 国会は、会期が終了すると閉会になりますが、各議院の常任委員会と特別委員会は、その議院の議決があれば閉会中でも審査を行うことができます。この議決によって、各議院の委員会は、閉会中も会議を開いたり、委員を各地に派遣したりして、審査または調査をおこなっています。

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民事保全における和解と申立ての取下げ

 実務上、民事保全手続において和解が成立する場合、和解条項の末尾に「債権者は本件申立てを取り下げる」との条項が設けられることが多い。これは、民事保全においては「被保全権利自体は訴訟物ではない」として、被保全権利に関する和解が成立しても民事保全手続の終了効はないとの解釈に基づくものである。
 しかし、このような条項がなくとも、訴訟終了効を排除する特段の表示がない限り、和解の成立により民事保全手続は当然終了したものと解する立場もある。

 前説につき小川弘喜ほか「書記官事務を中心とした和解条項に関する実証的研究」(法曹会)24頁。
 後説につき東京地裁保全研究会「民事保全の実務[新版]」(きんざい)上巻168頁。
※「民事保全の実務」では「実証的研究」の351頁を引用しているが、24頁の間違いではないか?
※後者の文献のほうが新しいので、取下げ条項を設けない扱いが現在は主流なのかもしれない。

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鬼澤友直「債務者を特定しない不動産占有移転禁止仮処分に関する東京地方裁判所保全部の運用」

 金融法務事情1707号(5月15・25日合併号)64頁。
 以前の記事では指摘しなかったが、そこで紹介した「自由と正義」の論文とともに掲載されている申立書書式では「債権者代理人(弁護士とされている)が現地訪問して呼び鈴を押して占有者から事情を聴く」という筋書きになっており、今回紹介する論文とともに掲載されている申立書書式も(出所が事実上同じなので当然だが)同様である。
 申立て前の経緯によっては、債権者本人(個人の場合)や担当者(法人の場合)が現場に現れても違和感がないという状況はありうるが、密行性保持の観点からすると、弁護士が申立て前に現場に現れても問題がないケースは(あらかじめ弁護士が前に出て交渉していたような場合を除き)ほとんどないのではなかろうか。
 近隣や管理人への聞き取りでさえ、密行性が保持できるかどうかについて慎重の上にも慎重を期しているのが実情と思われるが、どうだろう。

 ともかく、4月1日から5月10日までの段階で、東京地裁では債務者不特定の占有移転禁止仮処分の処理件数は2件とのことである。

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近藤崇晴ほか「民事執行の基礎と応用・補訂増補版」(青林書院)

 青林書院「法律知識ライブラリー」の第7巻。このシリーズに属する他の本はすべて「〇〇〇〇の法律知識」というタイトルだが、本書だけ「民事執行の基礎と応用」であり、その趣旨は本書の「はしがき」に書かれている。
 タイトルにふさわしく基礎から応用まで充実した内容であり「もう少し厚い本にあたらないと載っていないかも・・・」というような問題点がきちんと書かれているので、参照することが多い。
 担保執行法の改正による改訂を期待したいが、確認したところ、現時点では改訂版の刊行は公表されていない。

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「民事執行法の改正に伴う「民事執行法施行令」の改正に関する意見募集」の結果について

 ようやく公表された。
 民事執行法施行令はすでに改正されたので、いまさらという感もあるが、公表しないよりはしたほうがよいだろう。

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続々・引渡命令における証明責任の分配

 一方、被申立人が債務者(所有者)である場合は、条文上「被申立人が不動産を占有していること」は要件となっていないので、申立人は被申立人が不動産を占有していることについて主張する必要はない。整理すると、申立人が証明責任を負う事実は、

(a)申立人が「代金を納付した買受人」であること
(b)被申立人が債務者(所有者)であること

である。先日、この点を誤解したと思われる裁判所職員から「(前所有者である)被申立人の占有が主張されていないんですが」と言われたので、上記について説明したところ了解していただき、そのまま引渡命令が発令された。

※もっとも、発令された引渡命令に基づいて強制執行をする段階では、不動産を占有していない執行債務者は「引き渡せ」という債務名義を履行することができないので、執行不能となる。

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続・引渡命令における証明責任の分配

 この記事で、

 (民事執行法83条1項但し書きにより)「買受人に対抗することができる権原に基づき占有していると認められる者」に対しては、引渡しを命ずることができないことになっているが、この証明責任は占有者が負担すると解される。

と書いた。整理すると、被申立人が債務者(所有者)でない場合、

1)申立人が証明責任を負う事実:
(a)申立人が「代金を納付した買受人」であること
(b)被申立人が不動産の占有者であること

2)被申立人が証明責任を負う事実:
「被申立人が買受人に対抗することができる権原(により占有していること)」

というようになるのだが、前回の記事では、不親切なことに上記(1)を省略して(2)だけを書いたため「占有の事実自体も被申立人が証明責任を負うのか」という質問をいただいてしまった。
 この点については上記(1b)のとおりであり「被申立人が不動産の占有者であること」は申立人が証明責任を負う。

※雑記だけではアレなので。

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阿部雅彦「債務者を特定しない不動産占有移転禁止仮処分」

 日本弁護士連合会機関誌「自由と正義」2004年5月号54頁。
 仮処分命令申立書の記載例が掲載されている。
 「債務者を特定することを困難とする特別な事情」を丁寧に主張疎明することが期待されているようであり興味深い。その他、当事者の表示の欄に「別紙当事者目録記載のとおり(債務者不特定)」と明記することや、当事者目録の債務者欄には「本件仮処分命令執行の時において別紙物件目録記載の不動産を占有する者」と記載するのが目を引く。
 ただし、注6で「仮に・・・応対した女性が氏名を名乗った場合(漢字が判明しなければ、カタカナで表記する。)には、これらの特定された債務者に対する申立てと不特定の債務者に対する申立てということになる」としている点には若干の疑問がある。
 「氏名を名乗るが漢字を教えない」という状況において、債務者の特定に足りる情報が得られたと評価するのは難しいことが多いのではないだろうか。むしろ「応対した女性は〇〇〇〇と一応名乗っているが、漢字でどのように表記するか質問しても回答を拒否したため、債務者の特定に足りる情報は得られなかった」として、不特定の債務者に対する申立てとして取り扱うほうが実態に即しているのではないかと思われる。
(カタカナ表記の債務者宛てに仮処分保証金の供託をするのが不安でもある)

「『貸出債権市場における情報開示に関する研究会』報告書」に追記。

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FAQ/引渡命令における「買受人に対抗することができる権原に基づき占有している事実」の証明責任の所在

 マルバツ問題。

Q 引渡命令に関する民事執行法83条「1項」は、今回の担保執行法改正の対象になっていない。マルかバツか。(答えは一番下)

 さて本題。
 同項但し書きにより「買受人に対抗することができる権原に基づき占有していると認められる者」に対しては、引渡しを命ずることができないことになっているが、この証明責任は占有者が負担すると解される。
 したがって、現況調査及び審尋を経ても占有者の占有権原が不明の場合には、その占有者は引渡命令の相手方となる。

※西岡清一郎ほか「民事執行の実務・不動産執行編」下巻127頁
※中野貞一郎「民事執行法[新訂4版]」503頁
 本書499頁では、昭和54年に民事執行法が制定された際に本条の規定が国会修正された経緯について「国会審議の過程において不見識な反対意見が出て紛糾し」たと、手厳しく指摘している。
 当時の反対意見が不見識だったかどうか、私には何ともいえないが、平成8年改正により「民事執行法制定当時の政府原案とほぼ同じ形に戻した」(本書500頁)のは事実である。
(両書とも、担保執行法改正を踏まえた改訂版が出版されるのだろう。。。)

※上記マルバツ問題の正解は「マル」。一部改正されたのは2項。一瞬迷うのは私だけか??

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谷口園恵ほか「改正担保・執行法の解説」(商事法務)

 立案担当者による解説書なので、改正法をどのように活用するか、あるいは改正法のどこが問題かという問題意識では書かれておらず、それらについては別途、実務家の文献(の行間)を読まなければならないが、本書は立法趣旨を理解するためには欠かせない本のひとつであろう。
 地味な部分だが「別表一 民事執行法上の保全処分及び引渡命令に関する改正の経緯」「別表二 管理手続と他の執行手続等が競合する場合の法律関係」はたいへんわかりやすく整理されている。

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FAQ/引渡し期限の意味

民事執行法168条の2第2項は「かっこ」を省略すると、

 引渡し期限は、明渡しの催告があった日から1月を経過する日とする。ただし、執行官は、執行裁判所の許可を得て、当該日以後の日を引渡し期限とすることができる。

とあるので「明渡しの催告から1か月が経過するまでは断行執行しない」という断行実施日についての規定と誤解するかもしれない(私も当初そのように誤解していた)。

 しかし、ここにいう「引渡し期限」の意味について同項はかっこ書きで「明渡しの催告に基づき第6項の規定による強制執行をすることができる期限をいう」と明記してあり、第6項は明渡しの催告によって生じた当事者恒定効に基づいて行う強制執行の規定である。
 つまり「引渡し期限」は「明渡しの催告に基づく当事者恒定効が及ぶ期限」を意味するということだ。当事者恒定効が認められる期間は、最低でも1か月、さらに執行裁判所の許可があればもっと長くすることも可能である(条文をしっかり読めばわかる話だが)。

 他方、断行実施日について改正担保執行法は何ら規定しておらず、仮に引渡し期限が経過した後に断行を実施しても、断行実施日に当事者恒定効が及ばないだけであって、その断行が違法になることはないが、申立代理人サイドとしては、原則として当事者恒定効が認められる期間内に断行が実施できるよう手配するとともに、やむを得ない事情によりその期間内に断行が実施できない場合には、引渡し期限の延長を求め、断行実施日まで当事者恒定効が及ぶことを確実にしておく必要がある。

※これらの点については、以前に紹介した新民事執行実務2号139頁に掲載されている「新明(引)渡し制度について」がもっとも詳しい。

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東京地方裁判所民事執行センター「平成15年の事件動向(速報)」

 金融法務事情1701号(3月15日号)23頁で紹介されている。
 かっこ内の件数は(平成13年→平成14年→平成15年)。

 不動産担保権実行・新受事件:4347→4299→4183
 売却率→漸増(約8割)
 売却のための保全処分・受理件数:20→22→4
 買受人のための保全処分・受理件数:34→36→11
 引渡命令の申立て・受理件数:2800→2187→1732

 それぞれ減っているようである。改正担保執行法施行後はどうなるか。

「予告登記制度、廃止へ」に追記。
「最低売却価額→売却基準価額」に追記。

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日本執行官連盟「新民事執行実務」2号

 この雑誌は、毎年2月ころに刊行される、日本執行官連盟の年報である。執行官がどのように民事執行にかかわり、どのような問題を抱え、どのようなことに関心を持っているかがわかるほぼ唯一のメディアである。

※「新民事執行実務」は通巻2号だが、その前身の「民事執行実務」は通巻32号を数える。

 民事執行手続を執行官の視点から見ると、申立代理人としての弁護士の視点から見る民事執行手続とは少し違うことがわかる。
 弁護士にとっての民事執行は「法的権利実現の最終段階」であるが、執行官にとっての民事執行は、よく事情が書いていない(仮処分などにおいては定型文の主文だけが書かれた)債務名義がいきなり手元に届くことから始まる手続である。だから、執行官がことあるごとに「申立人からの情報提供を!」と唱えることになるのももっともなことである。

※「である」調にしてみました。

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三上徹「限度根保証と割合根保証」

 金融法務事情1699号(2月25日号)4頁に上記論文が掲載されています。

 私も「個人保証禁止論」は行きすぎだと思います。
 個人保証が禁止されると、多くの人・企業が融資を受けられなくなりそうですが、そうなると、間接金融の役割は相対的に低下し、直接金融による調達が主流になるのでしょうか。
 それはそれでひとつのあり方ではないかとも思いますが、個人保証の禁止を主張する人々がそのような社会の到来を願っているとは考えにくいのですが。。。

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FAQ/短期賃貸借制度の廃止・経過措置

 質問が多い点を整理します。網羅的ではありません。

1)短期賃貸借の保護がなくなるのは、施行後に新たに契約締結する短期賃貸借からです。現存する短期賃貸借は、引き続き(改正法施行後に更新されても)保護されます。

(平成15年改正法附則5条)
〇この法律の施行の際現に存する抵当不動産の賃貸借(この法律の施行後に更新されたものを含む。)のうち
〇民法第602条に定める期間を超えないものであって
〇当該抵当不動産の抵当権の登記後に対抗要件を備えたもの
に対する抵当権の効力については、なお従前の例による。

2)一方、建物の明渡猶予制度(民法395条)には経過措置はないので、

(民法395条)
〇抵当権者に対抗することを得ざる賃貸借により(※1)抵当権の目的たる建物(※2)の使用または収益をなす者にして
(1)競売手続の開始前より使用または収益をなす者(※3)
(2)強制管理または担保不動産収益執行の管理人が競売手続の開始後になしたる賃貸借により使用または収益をなしたる者は、
〇その建物の競売の場合において買受人の買受けのときより6か月を経過するまではその建物の買受人に引き渡すことを要せず

との規定が直ちに適用になります。私が最近みた物件明細書には「〇〇の賃借権は、〇〇なので、買受人に対抗できない。ただし、平成16年4月1日以降に代金納付がされる場合、その代金納付日から6か月間明渡しが猶予される」との記載があり、すでに改正法対応が始まっています。

 なお、以下のような場合には、建物の明渡猶予制度の対象にならないので、代金納付後すぐに引渡命令(民事執行法83条)を申し立てることができます。これらの場合の申立期間は代金納付後6か月(9か月ではない)なので、申立期限に注意する必要があります。

※1 ということは、単なる不法占拠者は除外(下記文献94頁)。使用貸借も除外されるのでしょう。
※2 ということは、土地の場合は除外。
※3 ということは、競売手続の開始後に使用収益を開始した者は除外。

(参考文献)山川一陽・山田治男「改正担保法・執行法のすべて」(中央経済社)

※正確でないかもしれません。間違いがあったらご指摘下さい(この記事に限りません)。
「ITヤクザの台頭」に追記。

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動産・債権譲渡に係る公示制度の整備

 18日に行われた、法制審議会動産・債権担保法制部会第5回会議の結果が法務省のサイトでようやく公開されました。

 肝心の「動産・債権譲渡に係る公示制度の整備に関する要綱中間試案」はまだ見当たりませんが、近いうちにパブリックコメント手続に付されるようです。

(3月4日追記)
 パブリックコメント手続に付されました。

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保証制度の見直し

 10日付けで法務大臣から法制審議会へ以下の諮問が行われていました。

諮問第六十六号

 保証人が過大な責任を負いがちな保証契約について、その内容を適正化するという観点から、根保証契約を締結する場合に限度額や期間を定めるものとすることなど、保証制度について見直しを行う必要があると思われるので、その要綱を示されたい。

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予告登記制度、廃止へ

 同じく、10日付けで「不動産登記法の改正についての要綱(骨子)」が法制審議会総会で決定され、法務大臣に答申されました。
 私が関心があるのは、以下の部分です。これもそのまま引用します。

第二  現代語化その他の改正について
(中略)
 四  予告登記の制度を廃止するものとする。

(3月20日追記)
 今ごろ気づいたのですが、3月3日付けで法案が提出されていました。
 現代語化に伴う全部改正なので「新旧対照条文」が出ていません。

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最低売却価額→売却基準価額

 10日付けで「民事訴訟法及び民事執行法の改正に関する要綱」が法制審議会総会で決定され、法務大臣に答申されました。
 私が関心があるのは、以下の部分です。それほど長くないので、そのまま引用します。

二  不動産競売手続
 1  最低売却価額制度(民事執行法第六十条等関係)
 (一)  最低売却価額制度の見直し
 最低売却価額を売却基準価額とし、これを二割下回る価額以上の額での買受けの申出を認めるものとする。
 (二)  評価人による評価の考慮事情
 評価人は、近傍同種の不動産の取引価格、不動産から生ずべき収益、不動産の原価その他の不動産の価格形成上の事情を適切に勘案して、遅滞なく、評価をしなければならないものとする。この場合において、評価人は、強制競売の手続において不動産の売却を実施するための評価であることを考慮しなければならないものとする。
 2  剰余を生ずる見込みのない場合の措置
 執行裁判所は、1(一)の価額では執行費用のうち共益費用であるもの(以下「手続費用」という。)及び差押債権者の債権に優先する債権(以下「優先債権」という。)を弁済して剰余を生ずる見込みがないと認める場合であっても、次のようなときは、売却の手続を実施することができるものとする。
 (一)  1(一)の価額が手続費用及び優先債権の見込額の合計額と同額のとき。
 (二)  1(一)の価額が手続費用及び優先債権の見込額の合計額には満たない場合であって、手続費用の見込額を超えるときにおいて、執行裁判所から剰余を生ずる見込みがない旨の通知を受けた差押債権者が、一週間以内に、すべての優先債権を有する者(1(一)の価額でその優先債権の全部の弁済を受けることができる見込みがある者を除く。以下「優先債権者」という。)の同意を得たことを証明したとき。
 3  差引納付の申出の期限(民事執行法第七十八条第四項関係)
 買受人が売却代金から配当等を受けるべき債権者であるときは、売却許可決定が確定するまでの間、執行裁判所に対し、配当等を受けるべき額を差し引いて代金を配当期日等に納付することを申し出ることができるものとする。

(3月20日追記)
 今ごろ気づいたのですが、3月3日付けで法案が提出されていました。

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FAQ/引渡命令と占有移転禁止の仮処分

 この点について質問が多いので、整理してみました。

1)「引渡命令」を被保全権利とする占有移転禁止の仮処分→×

(コメント)引渡命令の申立権者はほとんどの場合において「不動産明渡請求権」を有しているので、この明渡請求権を被保全権利とすればよい。

2)次の時期に占有移転禁止の仮処分を求めることができるか?
(a)引渡命令の申立て前→OK
(b)引渡命令の申立て後、発令前→OK
(c)引渡命令の発令後、確定前→OK

(理由)本案訴訟を提起するか否かは債権者の選択の問題であり、自由である。

(コメント)「引渡命令を申し立てたら占有移転禁止仮処分を申し立ててはならない」というような誤解が少なくない。

(d)引渡命令の確定後→×

(理由)確定後は、その執行により占有の回復が可能であるから、まずはその執行を行うべきであり、占有移転禁止の仮処分による権利保護の必要性を欠く。

(コメント)占有移転禁止仮処分の申立てを検討するような事例では、密行性を保つため引渡命令を先行させないのが一般的なので、このような場面を想定する必要性は乏しい。
 しかし、占有移転禁止仮処分の必要性をさほど検討せずに引渡命令を申し立て、その後に仮処分の必要性に気づいたような場合には、この点に注意する必要がある。

(e)引渡命令の執行不能後→OK

(参考文献)
東京地裁保全研究会編著
「民事保全の実務[新版]」上巻279頁以下

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谷口園恵ほか編著「改正担保・執行法の実務」(きんざい)

 類書が続々刊行されていますが、立法担当者が編著者に加わっているのは本書が初めてではないでしょうか。
 あれもこれも読みかけですが、これも読み始めないわけにはいきません(2月13日刊行予定)。

 執行官と執行現場で立ち話。
 執行法の改正は歓迎だが、また新手の妨害が考案されるだろうから、立法・運用両面の改善に終わりはないとのこと。まったく同感。

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判例タイムズ1135号特集「改正担保・執行法の法律及び規則の概要と実務」

 関係者なら問答無用で必読と思われます。

(特集を構成する記事のタイトル)
1 担保物件及び民事執行制度の改善のための民法等の一部を改正する法律の概要
2 改正民事執行規則の概要
3 改正民事執行法・規則と東京地方裁判所執行部の運用イメージ
4 新しい民事執行手続と裁判所書記官の事務
5 担保・執行法等の改正による執行官実務の取り組み
資料1 民事執行規則等の一部を改正する規則新旧対照条文
資料2(1) 民事執行法と民事執行規則との対照条文
資料2(2) 民事保全法と民事保全規則との対照条文

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コラム「競売物件の入札」

 そういえば、このコラムを書いたことをウェブサイトで紹介していなかったので、こちらで紹介します。

http://my.curio-city.com/mm/back01.html
http://www.curio-city.com/moneystyle/e-hoki/column_bkn2.html

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改正担保執行法有志勉強会始動!

 改正された担保執行法の施行が迫ってきたので、有志で勉強会をすることになりました。
 以下は私が作成したレジュメです。

1 改正の経緯
(1)平成8年民事執行法改正
(2)平成10年民事執行法改正
(3)今回改正(平成15年改正)
 平成15年7月25日成立・同年8月1日公布(平成15年法律第134号)
 平成16年4月1日施行
2 担保法関係
(1)雇用関係の先取特権(民法308条。なお商法295条は削除)。
(2)指名債権の債権質(民法363条)
(3)抵当権関係
 (a)滌除に代わる抵当権消滅請求制度(民法378条以下)
 (b)一括競売制度の拡張(民法389条)
 (c)短期賃貸借制度の廃止・明渡し猶予制度の創設(民法395条)及び抵当権者の同意を得た賃貸借(民法387条)
 (d)根抵当権の元本確定規制の緩和(民法398条の19第2項等)
 (e)担保不動産収益執行手続の創設(民執法182条2号)
3 執行法関係
(1)民事執行法上の保全処分の要件緩和(民執法55条等)
 (a)発令要件
 (b)執行官保管の保全処分
 (c)相手方を特定しないで発する売却のための保全処分等(民執法55条の2)
(2)内覧(民執法64条の2)
(3)差押禁止動産(民執法131条)
(4)扶養義務等に係る定期金債権を請求する場合の特例(民執法151条の2等)
(5)不動産の引渡し等の強制執行
 (a)執行官の質問権限(民執法168条2項)
 (b)目的外動産の即時売却(同条5項)
(6)明渡しの催告(民執法168条の2)
(7)間接強制の適用範囲の拡張(民執法173条1項)
(8)動産競売の開始要件の拡張(民執法190条)
(9)財産開示手続(民執法196条以下)

<以上>

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初現場

 今年初の執行現場(20日)は首都圏近郊の某市。
 東京都心より少し寒く、五感をとぎすませて対応。
 執行期日でスケジュールがふさがっていき、今年も現場系の予感。。。

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古賀政治編著「ケースでわかる新担保・執行法制」(きんざい)

 アクセスカウンタが3ケタになりました。お越しいただきありがとうございます。

 さて、「担保物権及び民事執行制度の改善のための民法等の一部を改正する法律案」は、平成15年7月25日に成立し、同年8月1日に公布されました(同日付け官報掲載・平成15年法律第134号)。
 そして「担保物権及び民事執行制度の改善のための民法等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」(平成15年12月12日付け官報掲載・平成15年政令第509号)により、本年つまり平成16年4月1日から施行されることになっています。
 昨今、相次いで制定・改正されている重要法律の内容を理解するのもたいへんですが、内容だけでなく、新法や改正法が、立法作業中→国会提出→成立→公布→施行のどの段階にあるかについても間違いがちなので、上記のとおり明記してみました。自分のためのメモです。
 この改正法の解説書も類書が多い中で、私としては、元ボスが編著者である本書で勉強しようと決意し、本書を本棚ではなく机の上に置いてありますが、じっくりと読む時間はあまりない・・・

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