【判例時報watch】新設会社の分割行為が詐害行為に当たるとして、詐害行為取消権の範囲内で新設分割が取り消され、価額賠償として債権者の被保全債権の範囲内で新設会社が支払を命じられた事例

名古屋地裁平成23年7月22日判決(控訴)・判例時報2136号70頁

X:金融機関
X→A:貸付債権額96M円
A→Y:新設分割。金融機関に対する債務をAに残し、その他の債務はAが重畳的債務引受をした上でYに承継させる。Aは、Xに対する債務について「128年間」で分割返済すると述べる。
X→Y:会社分割の取消と96M円の価額賠償を請求

※いわゆる濫用的会社分割につき、対抗手段として詐害行為取消権が用いられた事例。被告は、
「本件会社分割は・・・事業価値の存続と雇用の場の確保という社会的意義を有する(ので詐害性が否定される)」と主張したが、裁判所は、
「この社会的意義を実現する手段として、民事再生手続や会社更生手続といった再建型の法的な倒産手続があることに照らせば、本来は同手続によるべきものといえるのであるから、上記のような社会的意義という観点から本件会社分割を正当化しうるものともいえない」
と述べ、被告の主張を認めず。

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破産した会社に計算書類の虚偽記載や粉飾決算の事実があると認めたが、右虚偽記載等と取引先の損害との間に因果関係が認められないとして、取締役及び監査役の損害賠償責任が否定された事例

東京地裁平成17年6月27日判決(確定)
判例時報1923号(5月21日号)139頁

会社役員等がその職務を行うについて悪意または重大な過失があったときや計算書類等に虚偽の記載・記録をしたときには、第三者に対しても損害賠償責任を負うものとされている(会社法429条・旧商法266条の3)。

ただし、常に第三者に対して損害賠償責任を負うものではなく、役員等の行為と第三者の損害との間に相当因果関係がなければならず、会社の倒産によって売掛債権回収不能の損害を被ったとしても、当然に取締役に対して損害賠償を請求することができることにはならない。

本判決では、破産会社における計算書類の虚偽記載(※)や粉飾決算の事実を認定しながらも、この事実と原告の売掛債権回収不能による損害との間の因果関係が認められないとして、役員に対する損害賠償請求が棄却された。

※会社が興信所に渡した計算書類の数値と、確定申告書添付の計算書類の数値が異なることから、虚偽記載が推認されるとされ、一部を除いて虚偽記載と認定された。

また、非公開会社であっても「何らかの方法によって第三者に公表することが予定されている計算書類に虚偽記載があり、そのことによって第三者が損害を被った場合には、取締役が過失がないことを証明しない限り、損害賠償責任を負うことがあると解するのが相当である」とした。

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長島・大野・常松法律事務所編「アドバンス新会社法」(商事法務)

はしがきの「改正前商法の最後の10年は、会社法関係規定に関する改正の連続であった。多くの実務家は、かかる改正すら十分には消化し切れていないのではないだろうか。会社法による変更点を理解しなければならないのはもちろんであるが、この際、制度全体の趣旨や構成ももういちど勉強したいというのが正直なところであろう。本書はそのような実務家のニーズに応えんとするものである」との記述に大きくうなずく。
「実務のポイント」というタイトルのコラムの内容もまたイイ!グッジョブである。
「弁護士は弁護士の書いた本が読みやすい」という持論にまた確信を深めた次第。

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「新会社法のポイントと実務への影響」(6)

 NVC Monthly(日経ベンチャー経営者クラブ会報)12月号に執筆。
 テーマは「組織再編の規制緩和」。
(参考)日経ベンチャー経営者クラブ

※これで400エントリとなりました。ご覧いただきありがとうございます。

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黄金株~EUは各国へ廃止要請/アメリカは市場圧力により発行困難

 日経金融新聞12月6日付け。藤田和明記者ほか。
 日本でも、東証が原則禁止という規則を制定する方針を打ち出したのに対して、甲論乙駁の状況となっている。
 (参考)nikkei net:東証の黄金株禁止案、経済界と溝残る

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「新会社法のポイントと実務への影響」(5)

 NVC Monthly(日経ベンチャー経営者クラブ会報)11月号。
 今回のテーマは「計算関係の改正」です。
(参考)
 日経ベンチャー経営者クラブ

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会社法施行規則案の公表・公布時期

 備忘メモ。
 本年11月下旬を目処に案を公表。パブコメを経て、平成18年1月公布の方針。
 なお、会社法は、本年6月29日成立。平成18年5月施行予定。

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商事法務メールマガジン

 メールマガジンといえば、購読しては読まなくなることの繰り返し(私だけ?)だが、このメルマガはおもしろい。主役・旬刊商事法務を食うくらいの活躍ぶりだ。

・1回分の記事の総量が多すぎない
・メール本文に記載される文字は見出し程度にとどめ、詳細はリンク先に表示する(これにより一覧性が高まる)

あたりが読みやすさのポイントだろうか。
 最近は不定期にコラムも掲載されている。セミナーの宣伝に近いのもあるが、読み応えのあるコラムもある。

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進士肇ほか「コンパクト要点解説・わかりやすい新会社法Q&A」(きんざい)

 まさにコンパクト。困ったときに目的のページに速やかにたどりつき、最低限の知識を得たり、自分の理解が間違っていないこと(間違っていたこと)を確認するのに最適である。
 また、これは持論だが、弁護士にとっては、弁護士の書いた本が読みやすい。弁護士が一般的に読みやすい文章を書くというのではなく、自分と似た問題意識で書くから自分にとって読みやすいということである。

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「新会社法のポイントと実務への影響」(3)

 NVC Monthly(日経ベンチャー経営者クラブ会報)9月号。
 今回のテーマは「株主総会・取締役・監査役制度の改正」です。
(参考)
 日経ベンチャー経営者クラブ

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