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【判例時報watch】求償権が破産(再生)債権である場合において、財団(共益)債権である原債権を破産(再生)手続によらないで行使することが認められた事例

最高裁平成23年11月22日判決・最高裁平成23年11月24日判決・判例時報2134号62頁

※判例時報では「・・・行使することの可否」というタイトルになっているが、これでは結論がわからないので、結論がわかるようなタイトルを考案した。

■最高裁平成23年11月22日判決
A←従業員らの労働債権(以下の破産事件において財団債権となるもの)
X:Aに代わって従業員らに労働債権を弁済
A:破産手続開始決定。Yが破産管財人に選任される
X→Y:従業員らに代位して、破産手続によらないで、同給与債権の支払を請求

(本判決)
弁済による代位により財団債権を取得した者は、同人が破産者に対して取得した求償権が破産債権にすぎない場合であっても、破産手続によらないで上記財団債権を行使することができる
「このように解したとしても、他の破産債権者は、もともと原債権者による上記財団債権の行使を甘受せざるを得ない立場にあったのであるから、不当に不利益を被るということはできない」

田原睦夫裁判官の補足意見の一部(要約ではない)
「なお、租税債権のように、弁済による代位自体がその債権の性質上生じない場合は別である」

■最高裁平成23年11月24日判決
A→STX:請負契約の前渡金(約264M円)を請求して受領
STX→A:前渡金返還請求権
STX→X:Aの返還債務をXが保証

A:再生手続開始決定。Yが再生管財人に選任される(管理型)。
Y→STX:請負契約を解除(双方未履行双務契約)
STX→Y:前渡金返還請求権は共益債権となる(民事再生法49条5項・破産法54条2項)
STX→X:Xは前渡金返還債務を代位弁済(求償権は再生債権)

(本判決)
弁済による代位により民事再生法上の共益債権を取得した者は、同人が再生債務者に対して取得した求償権が再生債権にすぎない場合であっても、再生手続によらないで上記共益債権を行使することができる

金築誠志裁判官の補足意見の一部(要約ではない)
「民法501条柱書の「自己の権利に基づいて求償をすることができる範囲内」が、原判決がいうように、求償権が存する場合にその求償できる上限の額の範囲内、すなわち実体法上の制約の範囲内を意味しており、手続法上の制約を一切含まないものと限定的に解することは、いささか早計のように思われ、問題となる手続法上の制約の性質、効果等を考慮して、個別的、具体的に検討する余地を残しておくことが賢明であると考える」

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