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山田庸男「不動産競売/再び暴力団の介入許すのか」

朝日新聞2月19日付け「私の視点」

山田氏の現在の肩書は大阪弁護士会会長・日本弁護士連合会副会長であるが、日本弁護士連合会民事介入暴力対策委員会の元委員長であり、民事介入暴力対策分野での第一人者のひとりである。

この論考は、政府の規制改革会議が昨年12月に公表した第2次答申に盛り込まれている「不動産競売の民間開放の検討」に対する、民暴対策の観点からの反対論であり、私も賛成である。

この論考にもあるように、競売手続の歴史は、悪質な「競売屋」を排除することにより、一般市民や企業が安心して利用することを可能とし、その結果として、より公正な価格が形成されるようになり、債権者や債務者といった直接の当事者にとっても納得感が高まる手続に近づくための制度改正の歴史といっても過言ではない。

もちろん、担保物件の売却に際しては、必ず競売手続を利用しなければならないわけではなく、この手続を用いずに関係者の話し合いで任意売却を行うことも可能であり、むしろ実務的には任意売却が主流であり原則的形態である。競売手続は、当事者間で任意売却交渉が成立しない場合や、紳士的な交渉を阻害する要因(反社会的勢力が介在する場合が典型例である)があって、そもそも任意売却になじまない場合の「最後の受け皿」としての役割を果たしている。

手続が法定されている競売手続だけを見ることや、競売手続と任意売却を単に並列的に比較するのではなく、このように、任意売却と競売手続の役割分担を実情に基づいて動的に把握することができれば「競売手続が任意売却と比較して費用と時間がかかる」というような、それだけでは何の意味もない批判(「訴訟は交渉より費用と時間がかかる」と言っているのと同じことである)は出てこないはずである。

債権者側に反社会的勢力が介在してくることも珍しくない。この10年の間に急速に進んだ法整備により確実に排除されつつある反社会的勢力は、「民間開放」の動きに諸手を挙げて賛成し、その実現を首を長くして待っているという。長い時間をかけて1本ずつ抜いてきた牙を猛獣にまとめて返すような動きには疑問を感じざるを得ない。

もっとも、現時点の競売手続が完成されていて一切の改善の余地がないというつもりもない。「民間開放」推進論者が指摘する競売制度の問題点を個別に検討してさらなる改善につなげていくのが適当であろう。

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