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盗難通帳と印鑑による預金の不正払戻しについて、金融機関の払戻担当者に過失があったとして、債権の準占有者に対する弁済としての効力が認められなかった事例

今年もよろしくお願いします。

大阪高裁平成17年11月29日判決。判例時報1929号(7月11日号)59頁。預金者の逆転勝訴・確定。

「預金払戻請求権者が払戻の正当な権限を有しないと疑うべき特別の事情」として指摘されている事実は次のとおりである。こうなると預金者としては、金融機関から「この口座に入金される年金収入を唯一の収入源として生活しているのですか」などと聴き取り調査されることになりかねないが・・・

(ア)盗難通帳等の使用による預金引き出し事案の増加
(イ)本件払戻の経緯等
・控訴人が現在70歳であり、60歳から年金を受け取るようになったことから本件口座を開設し、本件口座で年金を受け取っていたこと
・控訴人の収入は、年金収入が唯一のものであり、年金をもって生活費に充てていたこと
・本件口座では、平成7年9月から平成14年4月(本件払戻し)まで、窓口における払戻はなかったこと
・本件払戻から過去3年間、10万円を超える払戻しはなかったこと
・本件払戻のあった吹田支店では、ここ数年間、控訴人についての取引はなかったこと
・本件払戻時の預金残高が105万円あまりであったこと
・控訴人は平成8年以降、多くの払戻を豊中支店で行っていたこと
・払戻請求書に記載された控訴人の氏名の文字に誤字があること
・本件払戻請求をした者は、やや猫背で、深く帽子をかぶっていたこと

なお、余談になるが、この判決文では、当審において内容的に付加訂正を加えた主要な箇所をゴシック体文字で記載したとのことで、判例時報の記事でもゴシック体が使われている。

昨年1月23日の当blog記事「つぎはぎ高裁判決批判」に、ちょっと待った!

で引用した平成18年1月19日最高裁判決において「控訴審判決書にゴシック体を使っている裁判体も現に存在するのだ」と言及されていたのはコレだったのか。たしかに読みやすいが「テキストデータによる公表を原則としている最高裁ウェブはどのように対応するのか」と疑念を呈していたことから、さっそく最高裁ウェブで検索してみたが、この大阪高裁判決は収録されていない模様である。

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