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地方公務員共済組合の組合員の破産手続中に自由財産である退職手当の中から組合の破産債権に対して地方公務員等共済組合法115条2項所定の方法によりされた弁済が、破産者による任意の弁済に該当しないとされた事例

最高裁平成18年1月23日判決。判例時報1923号37頁。
(内容がわかるようにタイトルを一部変更)

<事案>
地方公務員Xが破産宣告を受ける(旧法事件)
共済組合YはXに貸金債権を有する破産債権者
給与支給機関(勤務先)は、地方公務員等共済組合法115条2項に基づき、退職手当の一部をXに代わってYに支払ったため、XがYに対して不当利得返還請求。原審高松高裁は請求認容。
<本判決>
上告棄却(全員一致)

<理由>
1)破産者が破産手続中に自由財産の中から破産債権者に対して任意弁済することは可能(通説と同じ)。

2)ただし「破産者がした弁済が任意の弁済に当たるか否かは厳格に解すべきであり、少しでも強制的な要素を伴う場合には任意の弁済に当たるということはできない」
「地共法の弁済方法は、組合員の給与支給機関が組合に対する組合員の債務の弁済を代行するものにほかならず、組合員が破産宣告を受けた場合において、地共法115条2項により、組合員の自由財産である退職手当の中から組合の破産債権につき地共法の弁済方法で弁済を受け得る地位が組合に付与されたものと解することはできない」

※解説コメントでは「右払込みが他の債権に対して優先する旨の規定を欠くこと」も根拠のひとつとされている。

3)「組合員の破産手続中にその自由財産である退職手当の中から地共法の弁済方法により組合員の組合に対する貸付金債務についてされた弁済が、組合員による任意の弁済であるというためには、組合員が、破産宣告後に、自由財産から破産債権に対する弁済を強制されるものではないことを認識しながら、その自由な判断により、地共法の弁済方法をもって上記貸付金債務を弁済したものということができることが必要であると解すべきである」

※解説コメントでは「組合員が、貸付時に、地共法の弁済方法により貸付金債務を弁済することにつき同意をしたとしても、そのような同意をもって「任意の弁済」の要件を直ちに満たすということはできないと考えられる」とある。

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