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暴力団事務所の使用差し止めと和解

Matimulog経由。
Matimulog:accord:暴力団事務所の使用差し止めが和解

記事以外に情報がないので控えめにコメント。

中日新聞の記事によれば、近隣住民約650人が原告になったというのであるから、人格権を根拠にする訴訟であったと推測される。
この訴訟類型は、問題意識を共通にする多くの近隣住民が主体となって訴訟追行できるメリットがあるが、暴力団事務所としての使用差止めを請求できる「だけ」である点に限界がある。原告が暴力団事務所としての使用実態の立証に成功しなければ請求棄却となる可能性がある。また、使用差止請求が棄却されても、あるいは使用差止請求が認容されても、その建物を暴力団関係者が所有する限り、近隣住民の不安は消えない。区分所有建物の場合を除き、所有権を剥奪できる手続はない。
(町村先生は「暴力団として認識される行為を一切しないのであれば、別に違法ではないし、そういう人はそもそも定義上暴力団ではない」と主張されるが、そう割り切れるとは限らない)

そこで、物件を買い取るという選択肢が浮上する。これにより、原告にとっては、ある意味において使用差止請求訴訟に勝訴した場合以上の根本的解決が得られる可能性がある。もちろん、町村先生が指摘するように、これが暴力団への利益供与であってはならないことは当然である(本件の買取代金が過大かどうか判断できないので、この点は留保する)。

また、もっと根本的な問題として、暴力団には縄張りがつきものである。本件訴訟が和解により解決したとしても、その暴力団は存続し続ける。現に、記事によれば、その暴力団事務所は岐阜市内の別の場所に移転したという。原告にとって解決であっても、縄張りとされる地域で生活する市民や企業にとっては(そのような訴訟が頻発すれば暴力団組織自体に徐々にダメージとなるが)ほぼプラスマイナスゼロ。しかしこれは民事訴訟手続自体の限界である。

※ところで町村先生、いつでも「内野」にご案内しますよ。。

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