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異議申立預託金の返還請求権に対する差押えが競合した場合に、第三債務者が民事執行法156条2項に基づき差押債権を供託しなかったとしても、差押債権者に対して不法行為責任を負わないとされた事例

高松高裁平成17年6月16日判決(上告)。判例時報1921号(5月1日号)78頁。

B社:本件手形の振出人
X:本件手形の所持人
Y銀行(徳島銀行):本件手形の支払呈示を受けるが、契約不履行を理由に支払拒絶

B社→Y銀行に対し、異議申立提供金の資金として本件手形金と同額の異議申立預託金を預託
Y銀行→徳島手形交換所に本件異議申立提供金を提供

X→B社:債務名義を取得して、本件預託金返還請求権に対する差押決定を受ける
A社→B社:公正証書に基づき、本件預託金返還請求権に対する差押決定を受ける

B社:その後、破産宣告を受けてC弁護士が破産管財人となる

C管財人→Y:本件預託金の払い戻しを依頼
Y→徳島手形交換所:異議申立ての取下げを理由とする本件異議申立提供金の返還請求をして、払い戻しを受ける
Y→C管財人:本件預託金を返還

X→Y:本件預託金を供託せずにCに交付したことがXに対する不法行為にあたるとして損害賠償を請求
原審:一部認容

(本判決)
・第三債務者の供託義務は、第三債務者の実体法上の地位に何らの変更を加えるものではない。したがって、第三債務者の執行債務者に対する債務の弁済期が未踏雷である場合には、たとえ差押え等の競合が生じたとしても、第三債務者は期限の利益を喪失させられるわけではなく、依然として執行債務者に対して期限の利益を有するから、供託義務を負うものではない。
→原判決取消し・(予備的)請求棄却・控訴棄却

※差押債権者としては、第三債務者(銀行)に対して、
・差押命令送達届提出依頼書を提出し
・本件手形の現物及び本件債権差押命令正本の送達通知書を提示し、
本件債権差押命令正本及び手形訴訟の判決正本により、請求債権が異議申立てにかかる不渡手形(本件手形)債権であることを確認させた後でなければ異議申立提供金の返還を求めることはできない

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文書提出命令において提出を命ずる文書の範囲につき、特定を欠くとして原決定を取消し、事件を原審に差し戻した事例

大阪高裁平成17年1月18日決定。判例時報1921号(5月1日号)71頁。

本案被告:相互信用金庫(平成14年3月経営破綻)
申立人=本案原告:同金庫の出資者ら
被申立人:国

原決定:国(近畿財務局)が被告相互信用金庫に対して行った平成13年3月末基準の検査に関する示達書(検査結果報告書の添付されたもの)の原本または控えの写しのうち「貸金以外の資産に関する記載」並びに「債務者名、債務者の業種の記載」を除く部分の提出を命じた。

本決定:「貸金以外の資産に関する記載」を除外した点において、提出を命ずる範囲の特定に欠けるとして原決定取消し・差戻し

※差戻し後決定(大阪地裁平成17年4月6日)では、提出を命ずる範囲について詳細に特定された(抗告・抗告棄却・確定)。

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日本銀行の金融機関に送付した「所見通知」に関する文書提出命令の申立てが認められた事例

大阪高裁平成16年12月27日決定。判例時報1921号(5月1日号)68頁。

本案被告:相互信用金庫(平成14年3月経営破綻)
申立人=本案原告:同金庫の出資者ら
被申立人:日本銀行

対象文書:日本銀行が保管する、同金庫に送付した「所見通知」
被申立人:民訴法220条4号ハ・197条1項2号の「職業の秘密」に関する事項で「黙秘の義務が免除されていないもの」に該当すると主張

(決定要旨)
・日銀考査の結果は、金融庁の職員に閲覧させ、その他正当な理由がある場合には開示することができると定められていること
・独立行政法人等情報公開法により開示を拒否できるとしても、民訴法所定の文書提出義務に関する規定に優先するとは解釈できないこと
→「職業の秘密に関する事項」に該当しない
→文書提出命令を認めて、抗告人(日本銀行)の抗告を棄却

※「民事訴訟法」のカテゴリを設けることにしました。

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豊和銀行(大分市)に公的資金注入

公表情報の整理メモ。「記事」は日本経済新聞。
なお、債務超過と判断されず、ペイオフ(一部定額保護)が発動されなかったためか、事実公表後も預金者の動揺は見られず、どの支店も平穏。株価も小幅な下落にとどまるとのこと(5月3日記事)

1 豊和銀行の経営状況等
・同銀行の預金量は大分県で2位(5月1日記事)
・店舗は大分市内に(本店営業部を含めて)23か所、別府市内に5か所、その他大分県内に17か所、福岡県内に3か所、熊本県内に1か所。合計49か所(同銀行サイト)
・1月からの金融庁検査により、自己資本比率が国内行基準の4%を下回るがプラス(債務超過ではない)と判断される(4月29日記事)→2.2%と公表(同銀行サイト)
・同銀行の平成17年9月末時点の不良債権比率は6.3%。同時点で同銀行より不良債権比率が高い上場地方銀行は25行(5月3日記事)
2 早期是正措置等
・4月28日、金融庁から早期是正措置を受ける(同)
・西日本シティ銀行(福岡市)から30億円の増資を受ける(同銀行サイト)
・西日本シティ銀行は役員を派遣し、将来の経営統合も検討する(4月28日記事)
・西日本シティ銀行は西日本銀行と福岡シティ銀行2004年に合併して誕生した銀行。700億円の公的資金が注入され、現在も同額の残高がある(5月3日記事)
・他に、地域取引先を対象とする第三者割当増資も検討(同銀行サイト)
・さらに、金融機能強化法を初適用して100億円超の公的資金を注入する方向で検討。ペイオフ全面解禁後公的資金の注入は初(4月28日記事)
3 今後の対応
・金融機能強化法を適用して公的資金を注入する場合は、経営責任と株主責任の明確化が必要(4月28日記事)
・水田頭取は4月28日の記者会見で「不良債権の査定が甘かったということはないと思う」「(融資姿勢は)今後も変わりはない」と発言。役員責任については明言せず(5月3日記事)

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