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将来の産業廃棄物の撤去作業により発生すべき事務管理に基づく費用償還請求権は、被保全権利としての適格性を認めることはできないとされた事例

福岡高裁平成17年7月28日(確定)。判例時報1920号42頁。
将来発生する債権については、その発生の可能性と内容の確定性を具体的に根拠付ける法律関係が現存しなければならないとする判例・通説に基づき、本件における被保全権利性が否定されたもの。
(以下私見)
ただ、判例通説においても、将来発生する債権について、その発生の可能性と内容の確定性を具体的に根拠付ける法律関係が現存すれば被保全権利性が認められる余地はある。
とすれば、事例によっては、本件のような「将来の産業廃棄物の撤去作業により発生すべき事務管理に基づく費用償還請求権」であったとしても、被保全権利性が常に否定されるわけではないということになろう。
しかし、本件では「撤去義務者である相手方の態度からして、そのような事態(=撤去義務者が任意に撤去しないため、抗告人が自ら撤去作業をする事態)に立ち至る蓋然性は高いということはできる」とまで認定されているが、それでも「それだからといって、事の本質は何ら変わらない」と結論づけており、どのような具体的状況であれば被保全権利性が認められるかについては明らかでない。
なお、抗告人は地方自治体(福岡県)。

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不作為を目的とする債務の強制執行として間接強制決定をするために債権者において債務者の不作為義務に違反するおそれがあることを立証すれば足り、債務者が現にその不作為義務に違反していることを立証する必要はないとした事例

最高裁平成17年12月9日決定。判例時報1920号(4月21日号)39頁。

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東京都信金協会、反社会的勢力への対応マニュアル作成

日経金融新聞4月24日付け。興産信用金庫事件を受けた動きとのこと。
個別の企業では事務負担が重い場合には、この記事のように業界団体レベルで対応することが効果的な場合もあるだろう。

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根抵当権者が競売の申立ての際に提出した当該根抵当権の登記のほかに譲渡担保を原因とする同人への所有権移転登記が記載されている登記簿謄本が法定文書(民事執行法181条1項3号)に該当するとした事例

最高裁平成17年11月11日決定。判例時報1919号(4月11日号)103頁。

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坂井秀行「流動資産担保の枠組みと今後の展望」

季刊・事業再生と債権管理112号(2006年春号)90頁。
流動資産担保化の動きへの批判に対して「ミクロ的には、こうした債権者(共益債権的な性格を有するが無担保の債権者)を救済する実務運用は追及されるべきでしょう。しかしマクロ的には、動産・債権担保融資が今後健全な発展を遂げ、こうした弊害を大きく上回るメリットをもたらすか否か、という観点から検討すべき問題ではないか」と述べているが同感である。

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債権差押命令において預金債権を差し押さえる場合の取扱店舗の特定

金融法務事情1767号(4月5日号)26頁。
当然特定しなきゃと思っていたら、最近「ペイオフ解禁に伴い全金融機関で名寄せのシステムが整備されているのだから、取扱店舗を特定しなくても(仮)差押えの効力が及ぶ預金債権を検索することは容易である」との主張がなされ、一部にはその主張を認める高裁レベルの裁判例もあるという。
その裁判例の中には東京高裁のものもあるのだが、東京地裁民事執行センターは、現時点ではその主張を採用せず、従来どおり、取扱店舗の特定を必要とする取扱いを維持するとのこと。すごいなあ>目黒の人たち

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執行債権が第三者により仮差押えされても、執行債務者は、強制執行としての債権差押命令の取消しを求めることはできないとされた事例

大阪高裁平成17年7月6日決定。判例時報1918号(4月1日号)21頁。
(メモ)
A→X→Y→B(Yの勤務先)

X:Yに対する損害賠償債権に基づいて、YのBに対する給与債権について債権差押命令を得る。
A:Xに対する損害賠償債権(代位取得)に基づいて、XのYに対する損害賠償債権について仮差押命令を得る。

・仮差押えによっても、債務者(X)が訴訟提起や訴訟追行をして債務名義を取得することや、取得した債務名義により強制執行をすることは妨げられない。
・仮差押債権者(A)は、強制執行が行われたときに、当該債権が仮差押えされていることを執行上の障害として執行機関に呈示し、その執行手続の進行を阻止できる。
※ただし、これを「執行障害」と呼ぶのは当を得ないとの指摘あり(中野貞一郎「民事執行法」[新訂4版](青林書院)146頁)
・執行債権が仮差押えされた旨の文書は執行取消文書にあたらない。
・また、債権差押命令の発令前に仮差押命令正本の提出はなかったので、執行手続の進行を阻止することもできない。

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社内ベンチャー

たまには雑談を。
私は以前から「ハァ?社内ベンチャー?コカコーラにカルシウムを入れたようなもの?」程度に思っていたが、磯崎氏にかかると、こんなにも簡潔明瞭に分析されてしまう。Soup Stock Tokyoはときどき利用しているが、社内ベンチャーだったとは知らなかった。社内ベンチャーには磯崎氏の指摘するような問題点もあるが、カルシウム入りコカコーラなどと揶揄するのはやめにしようと思った次第。

isologue:社内ベンチャー(三菱商事さん新社屋完成記念)

それはともかく、磯崎氏はすごいなあと思ってプロフィールを拝見すると、なんと!あの幻の名著(?)藤田康幸編著「法律業務のためのパソコン徹底活用Book」(トール・1999年)の執筆メンバーつながりではないか。
これでミーハーな私は、雲の上のアルファブロガー磯崎氏に対して不遜にも「磯崎さん?いっしょに本を書いたことあるよ」などと吹聴しかねないのである。

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信金中金・全信組連、小さい船では揺れ大きい――「ペイオフ」回避へ合併支援

日経金融新聞4月6日付け1面。
ペイオフ1号を出すと業界全体の信用に影響するとの理由(※)で、全国団体(信金中金・全信組連)による合併支援策がとられているという。健全な金融機関のコスト負担により経営基盤の弱い金融機関を救済する図式と見れなくもないが、従来の国民負担(全額保護方式)よりはマシとも考えられるし、これにより経営効率化が進むのであれば、伝家の宝刀を抜かずにペイオフ解禁効果が実現しつつあるともいえる。

※記事によると、ペイオフ1号回避だけではなく、取り扱う金融商品の多様化等に対応して業務の高度化を図ることも大きな理由となっているとのこと。

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同順位の根抵当権者の1人が提出した不動産競売事件の申立書の被担保債権及び請求債権の部分における「金8億円 但し、債権者が債務者に対して有する下記債権のうち、下記債権の順序に従い上記金額に満つるまで」との記載が被担保債権の一部について担保権の実行をする趣旨の記載ではないとされた事例

最高裁平成17年11月24日。金融法務事情1766号(3月25日号)57頁。

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全面施行から1年を迎えた個人情報保護法をめぐる諸問題

NBL830号(4月1日号)1頁。
議員立法の動きにも目が離せない。

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岡正晶「執行裁判所の過失に基づく国家賠償責任につき、配当を受けられなかった差押債権者に5割の過失相殺を認めた高裁判決を破棄し、国が全額の責任を負うとした最高裁判決-最一判平成18・1・19」

NBL829号(3月15日号)6頁。
※判例時報1923号(5月21日号)41頁に判決文掲載

動産引渡請求権に対する強制執行事件では、後行の差押債権者としては、陳述催告を行い、先行の差押えがなされているか否かを確認する必要がある。そもそも、陳述催告を受けての第三債務者の陳述がなければ、先行の差押えがあること(自らが後行の差押債権者であること)はわからない。
※金銭債権執行では、差押えが競合した場合には義務供託となるので、競合した事実を知ることができるが、動産引渡請求権に対する強制執行事件ではそのような制度的保障がない。
そして、自らが後行の差押債権者であることを知った者には、それ以上の義務、例えば、先行事件の執行裁判所に問い合わせをするなどして、その執行裁判所に競合の事実を知らせる義務はないとしたのが本判決のポイント。

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