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不動産を目的とする一個の抵当権が数個の債権を担保しそのうちの一個の債権のみについての保証人が当該債権にかかる残債務全額につき代位弁済した場合において当該抵当不動産の換価による売却代金が被担保債権のすべてを消滅させるに足りないときの上記売却代金からの弁済受領額

 最高裁判決平成17年1月27日・判例時報1887号39頁。

1)「保証人が一個の被担保債権の一部につき代位弁済した場合」においては、債権者が代位弁済者に優先するとするのが判例である(最高裁判決昭和60年5月23日民集39・4・940)。
2)では「保証人が数個の被担保債権のうち一個の被担保債権の全部につき代位弁済した場合」にどうなるか。
3)債務者(の更生管財人)は、債権者を優先させず、代位弁済者と案分で弁済した。そのため、債権者が代位弁済者を被告として不当利得返還請求訴訟を提起した。
4)一審と原審は(2)の場合にも(1)の判例により債権者を優先させるのが相当であるとして原告の請求を認容し・被告からの控訴を棄却した。
5)しかし、最高裁は(2)の場合には案分弁済するのが相当であるとして、破棄差し戻しした。

(理由)なぜなら、この場合は、民法502条1項所定の債権の一部につき代位弁済がされた場合とは異なり、債権者は、上記保証人が代位によって取得した債権について、抵当権の設定を受け、かつ、保証人を徴した目的を達して完全な満足を得ており、保証人が当該債権について債権者に代位して上記売却代金から弁済を受けることによって不利益を被るものとはいえず、また、保証人が自己の保証していない債権についてまで債権者の優先的な満足を受忍しなければならない理由はないからである。

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