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株主資格の確認方法

 旬刊商事法務11月30日臨時創刊号「株主総会白書2004年版」を今ごろ読んでいる。
 「株主総会において会社が送付した書類を持参しなかった場合の株主の確認方法」の調査結果につき「持参しなかった株主は存在しなかった」を除外して再整理してみた。

1)株主名・住所等を記入させ、株主名簿と照合してから入場させた/86%
2)株主名・住所等を記入させ、身分証明書等の提出を求め、株主名簿と照合し入場させた/10%
3)株主名・住所等を記入させ、直ちに入場させた/3%
4)その他・無回答/1%

 この記事中「株主名簿と照合するとともに身分証明書の提出を求める方法は、さらに厳格な確認方法ではあるが、来場者が必ずしも身分証明書を持参していないことがあり、その場合に入場を拒否するようなことがあれば、決議の瑕疵となる恐れもありうる」との記載が気になった。

 この点につき、東京弁護士会会社法部編「株主総会ガイドライン」[改訂第4版]30頁は「入場しようとする者が株主本人としての出席資格・地位を証明する「証明責任の帰属」は、入場しようとする者にあり、その資格が証明できなかった場合、議場に入場し、議事に参加できないことの危険を自ら負担しなければならない」と述べている。
 また、久保利英明ほか「株主総会のすべて」[新訂第1版]302頁は「こうした人々は、自身が株主であることを自ら証明する責任を負うと考えるべきである」と述べている。

 3つの文献における結論はそれほど違わないのだろうが、私も、証明責任の分配について訓練を受けた法曹としては、後2者のようにアドバイスするだろう。
(会社が株主と認めた場合の問題についてはここでは触れない)

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Comments

鶴巻 先生

夏井です。お世話になっております。

証明責任分配の基本原則からすると,ある権利の行使によって法的利益を得る者がその権利の発生原因となる事実を証明しなければならないことになりますよね。
株主権の行使として株主総会に出席し株主としての議決権等を行使するという法的利益を得る場合には,株主権の発生原因事実を証明することになります。その発生原因事実とは,まさに「株主であること」それ自体になると思いますので,「株主であること」という事実を証明すべきことになります。また議決権行使の場合には,この事実に加えて,「保有株式数」も証明しないと議決権という権利を行使することができないと解されます。

これらの事実の証明は,会社側が否認した場合には,やや難しいかもしれないですが,通常は,「円滑な株主総会の挙行」のために会社側がいろいろと事前にお膳立てしてくれているので,事実上,あまり問題にならないだけのことではないかと思われます。

なお,会社が,特定の者(株主であると主張する者)について,上記各事実を自ら認める(自白する)のは自由ですので,その場合には,「株主であること」などの事実についての証明の必要が消滅してしまうことになると思います。

そして,召集通知の葉書などを持参している場合には,その葉書などを所持しているという事実(間接事実)によって,原則として,「株主であること」という事実(主要事実)が推定されることになると思います(事実上の推定)。
それと同時に,そのような推定を受けることのできる者については,特段の事情がない限り,その者を株主として扱い,株主権の行使をさせたとしても,過失がないと解するのが通常ではないかと思われます。
ただし,この葉書等が容易に偽造可能なものである場合には,上記の事実上の推定も非常に弱いものとなってしまうかもしれないですね。その場合,別の手段を併用して「株主であること」を証明させない限り,偽株主の入場を許し偽の株主権の行使をさせたことについて,会社の過失が認められてしまうかもしれません。


Posted by: 夏井高人 | 2004.12.28 at 20:45

すばやいコメントありがとうございます。
ご指摘のとおり「事実上あまり問題にならない」のですが、法律問題の検討に際して証明責任の分配について考慮するかどうかという脇道的な関心からネタにさせていただきました。

※机の上に積み上がった未読雑誌を減らしつつ、年末を迎えつつあります。

Posted by: 鶴巻 暁 | 2004.12.28 at 20:58

鶴巻 先生

夏井です。

目下,ちょっと面倒な調査案件をかかえています。前提となる事実や資料の調査を終え,調査結果報告書を起案中なのですが,幾つか「ある種の決断」をしなければならない点があり,あれこれ思い悩んでおります。

起案に疲れると中断して,ときどき,知り合いの先生方のblogなどを拝見しております。トーマツの丸山さんのblogや南山大学の町村先生のblogなどにしばしば出没しております(←もしかすると,ご迷惑をおかけしているかも・・・)。

要件事実についてあれこれ考えるのは,前職中の仕事の一部でもありましたし,教官をしていた当時にはまさに仕事そのものでもあったので,非常になつかしいです。
要件事実は,世間常識を下敷きにしつつも論理で攻める世界ですね。要件事実についてあれこれ考えたり議論したりすることは,碁や将棋などと同じように,いつやってもとても楽しいです。

ちょっと気晴らし気味にコメントしてしまいました。ごめんなさい。

Posted by: 夏井高人 | 2004.12.28 at 21:20

鶴巻先生、こんにちは・・・。夏井先生がこんなところにも出没してる(笑)。デジタルフォレンジック研究会以来、「証拠ってなんだ」と、いろいろと考えています。そういうこともあって、今回の鶴巻先生のブログの「株主資格の確認方法」は面白いテーマと思いながら読ませていただきました。。。と、そこに夏井先生が・・・
私はまだまだ、情報収集中で理解が乏しいのですが、「証明プロセスにおける証拠」ってどういうこと?というのが目下の自分に対する課題です。ぼちぼちと、夏井先生とキャッチボールをしながら勉強していこうかなぁ・・・と。ということで、夏井先生、ぜんぜん迷惑ではないので・・・これからもよろしくお願いします。
鶴巻先生、ブログを楽しみにしてますね・・・

Posted by: 丸山満彦 | 2004.12.30 at 16:34

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