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「貸出債権市場における情報開示に関する研究会」報告書

 法律系ブログ・ページランキングで当blogを紹介していただいた(ありがとうございます)。「民暴・倒産関係の話題が多い」とのコメントをいただいたので、違うネタを。

 銀行などの金融機関における守秘義務と情報開示との関係について、全国銀行協会を事務局とする研究会が設置され、本年2月から3月にかけて検討された結果が4月9日付けで公表された。

 私は以前から、債権譲渡特約等により制限されない限り、貸付債権を含む指名債権は自由に譲渡できるのが原則である(民法466条)から、債権譲渡のために必要な限度における情報開示は守秘義務に抵触しないだろうと考えていた(個人情報保護法との関係について書いた「債権譲渡に伴う債務者の個人情報の第三者への提供」(「金融コンプライアンス」2003年9月号)参照)が、本報告書は(当然ながら私よりも)深く具体的に検討されており、たいへん参考になる。この報告書中の「基本的な考え方」を引用すると、

1 銀行が企業顧客情報を開示することが認められるか否かは、銀行と顧客の取引関係等に応じて個別具体的に判断すべきであり、守秘義務を画一的・硬直的に解するべきではない。

2 次の場合には当然に顧客情報の開示が認められる。
(1)情報開示について当該債務者企業の承諾がある場合
(2)当該情報が公開情報の場合

3 このほか情報開示が認められる根拠としては、銀行の企業顧客情報の開示が必要かつ正当な理由を有する行為(正当行為)であること、情報開示により当該企業が経済的損害を被る予見可能性がないこと等が考えられる。

4 この場合、情報開示が認められるか否かは、そうした情報開示の必要性・正当性と開示により顧客に及ぼす影響とを、具体的な場面に即して、総合的に判断すべきものと考える。その際の総合判断の具体的な要素としては、次の5要素を挙げることができ、この5つの要素を、その要素間の関係も含め考慮し、情報開示の妥当性を判断するというアプローチが有効である。
(1)情報開示の目的
(2)開示する情報の内容
(3)債務者企業に及ぼす影響
(4)情報の開示先
(5)情報の管理体制

ということである(見出し数字を加筆した)。

 本報告書では、企業顧客情報を対象に、顧客と銀行との間の契約関係や顧客の経済的利益を侵害する可能性の有無という観点から考察を行っているが、個人顧客情報について考察する場合においても参考になると考えられる。
 なお、ミンボー的視点では、本報告書中「情報の開示先」について「なお、反社会的勢力が関与している者などは、当然のこととして、態様の如何にかかわらず、開示先から除かれるべきである」と述べられているのが注目される。

(5月9日追記)
 同報告書の概要について、金融法務事情1706号(5月5日号)29頁で紹介された。

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