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1円会社からの前倒し卒業

 またまた古い記事からの引用で恐縮だが、2月4日付け日経3面の

「特例制度導入1年/「1円起業」で企業巣立つ/利用8000社超、卒業は274社/「用意周到組」が成功/設立前から増資にメド」

という記事(残念ながらNIKKEI.NETでは見当たらない)によると、274社が新事業創出促進法10条に基づく5年間の最低資本金規制適用除外期間を待たずにわざわざ増資をして最低資本金をクリアしていることがわかる。この記事では、

「少ない元手で会社を設立した上で過小資本状態を早急に脱して信用力を強化し、大企業との取引開始などにつなげる狙いがある」

と分析している。もちろん、出資/借り入れのどちらで資金を調達するかという選択は信用力だけの問題ではないが、経済社会においても、新規設立会社の資本の額と信用力は関係があると考えられていることがわかる。

 「資本が1000万円未満の会社は設立から2年間消費税の納税義務を負わない」といった現行の関連諸制度を前提とすると、この特例はそれなりに意義があったと考えられる(※1)。この特例は、サラリーマンが起業する場合等、一定の要件を満たす場合しか適用を受けられないが、この要件を緩和することは検討されてもよいのではないだろうか。

 しかし、前記のとおり、新規設立会社において資本の額と信用力には関係があると考えられる以上、特例はあくまでも特例であり、所定の期間経過後は本来の最低資本金を備える必要がやはりあると考えられる。
 この点、会社法制現代化要綱試案におけるC案(株式会社・有限会社において最低資本金規制を撤廃する案)については、起業促進という政策目的(※2)からすると、その妥当性には疑問を感じざるを得ない。

※1 5年間という期間の長さが適当か否かについては留保する。
※2 起業促進以外の政策目的との関係で、最低資本金300万円未満の有限責任会社を設立するニーズがどの程度あるのかわからないが、もしあるとしても、商法で一般的に最低資本金規制を撤廃するほどのニーズなのだろうか。ニーズごとに特別法で対応すれば足りるのではないだろうか(現時点の感想)。

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