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「民事再生手続き、4割が再建失敗」?

 朝日新聞の記事だが、あえて「?」をつけさせていただいた。記事によると、

 民事再生法の手続きを開始した案件の約4割が再建に失敗していたことが、東京商工リサーチのまとめで分かった

ということであり、東京商工リサーチの記事でも、それらしいデータが公表されている。

 しかし、これらの記事は、調査手法が不明確である。例えば、

「中核A社を含むグループ10社でまとめて民事再生を申し立て、そのうち中核A社を含む7社を再建することとし、ノンコア事業を分担していた3社は破産させることにした」

というケースを仮定すると「1グループの民事再生が成功した」と扱うのが実態に即しているにもかかわらず、事件の件数で単純計算すると「民事再生手続、3割が再建失敗」となってしまう。

 調査手法がきちんと公表されていないので断定できないが、私の感覚としては、グループ単位で考えたときに4割も再建に失敗して破産しているというのは違和感がある一方、単純計算ならあり得る数字である。
 もし単純計算によって得られた数値を元にこれらのような記事が書かれたのであれば、ミスリーディングの危険がある。

 なお、4割は多すぎるとしても、朝日の記事にある、

 東京商工リサーチ経済研究室は「民事再生法の狙いは早めに手を打って破産を避けることだ。しかし、実際は本当に行き詰まるまで決断しない経営者が多いようだ」と話している。

これはもっともである。

※いっしょうけんめい探せばグループ単位に整理した統計が見つかるかもしれませんが、このblogでそこまではやりきれません。あしからず。
※その後、手近にある資料を見たところ、およそ次のような状況だった。
1)(開始決定後、再生計画認可に至らず手続廃止)÷開始件数≒14%
2)(再生計画認可後の手続廃止)÷開始件数≒5%
 これによると、廃止率は約19%となる。
 なお、この資料も、グループ単位ではなく件数単位の集計とみられ、件数単位でも廃止率は2割ということになるので「廃止率4割」という報道がどういう調査に基づくものなのか、ますます興味深くなった。
(上記で、件数単位の集計なら廃止率4割もあり得る数字だと書いた部分は暫定的に留保します。グループ単位/件数単位という問題ではない可能性もあるようです。より確実なデータが入手できたら訂正するかもしれません)

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