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議論メモ/特別清算についての検討課題(2)

 続きです。私のメモから。

第1 現行の特別清算の見直しについての個別の検討課題
 1 管轄

※「通常の清算手続を厳格化した特殊な清算手続」という現行の特別清算の基本的枠組みを維持するとすれば、現行法と同じ(会社の本店所在地を管轄する地方裁判所の管轄に専属)とすべきか。
 それとも、基本的枠組みを維持しつつも、新しい破産手続と同様に「会社の主たる営業所の所在地」等を管轄する地方裁判所の管轄に専属するとしてもよいか(その場合に、通常清算事件と管轄が一致しない場合が生じうるが、それでもかまわないか)。

 2 記録の閲覧等の制度
 3 最高裁判所規則への委任
 4 申立権者等
 (1)申立権者
 (2)職権でする開始の命令の制度の廃止
 (3)清算人の申立義務
 5 疎明
 (1)新・特別清算開始の原因の疎明
 (2)債権の疎明

※現行法では常に開始原因の疎明が必要とされているが、債権者または株主が申し立てる場合だけ疎明必要とすれば足りるのではないか。

 6 手続費用の予納等
 (1)手続費用の予納
 (2)不服申立て
 (3)費用の仮支弁
 (4)費用の負担

 7 特別清算開始前の処分

※現行の制度に加えて、新しい破産手続と同様に「中止命令の対象の拡張」「包括的禁止命令」もしくは「保全管理命令」制度を創設すべきか
※協定を基本とする手続にはなじまないのではないか

 8 新・特別清算開始の効力(1)効力を受ける債権の範囲

※すべての債権とすべきか

 9 新・特別清算開始の効力(2)倒産実体法の整備

※現行法と同様、相殺の制限に関する規定のみを設けることとすべきか

 10 新・特別清算開始の効力(3)他の手続に対する効力
 (1)特別清算開始の命令があったときの他の手続の中止
 (2)特別清算開始の命令が確定したときの他の手続の失効
 (3)担保権の実行手続の中止命令

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宮谷隆「株主総会の準備事務と議事運営」[第5版](中央経済社)

 「株主総会想定問答集」と並ぶこの分野の必読書。
 久保利英明ほか「株主総会のすべて」[新訂第1版](商事法務)とどちらをタイトルにするか迷ったが「改訂時期が新しいほうがエライ」「改訂した回数が多いほうがエライ」という形式的基準に従うことにした(内容はどちらも重要)。
 これら2冊は、いわゆる一括上程・一括審議方式のバイブルである。
 長い歴史の中でなじんだ個別審議方式を改める気にならない会社にまで押しつけるつもりはないが、どちらかを自由に選べるなら一括上程・一括審議方式がおすすめである(理由は本書へ)。
 他方、総会開催日についての主張ははっきりしない。一般株主を重視する姿勢が重要であることは当然であるが、会社の実情に応じて集中日でもそれ以外の日でも自由に選択すればよいのではないか。

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「民事再生手続き、4割が再建失敗」?

 朝日新聞の記事だが、あえて「?」をつけさせていただいた。記事によると、

 民事再生法の手続きを開始した案件の約4割が再建に失敗していたことが、東京商工リサーチのまとめで分かった

ということであり、東京商工リサーチの記事でも、それらしいデータが公表されている。

 しかし、これらの記事は、調査手法が不明確である。例えば、

「中核A社を含むグループ10社でまとめて民事再生を申し立て、そのうち中核A社を含む7社を再建することとし、ノンコア事業を分担していた3社は破産させることにした」

というケースを仮定すると「1グループの民事再生が成功した」と扱うのが実態に即しているにもかかわらず、事件の件数で単純計算すると「民事再生手続、3割が再建失敗」となってしまう。

 調査手法がきちんと公表されていないので断定できないが、私の感覚としては、グループ単位で考えたときに4割も再建に失敗して破産しているというのは違和感がある一方、単純計算ならあり得る数字である。
 もし単純計算によって得られた数値を元にこれらのような記事が書かれたのであれば、ミスリーディングの危険がある。

 なお、4割は多すぎるとしても、朝日の記事にある、

 東京商工リサーチ経済研究室は「民事再生法の狙いは早めに手を打って破産を避けることだ。しかし、実際は本当に行き詰まるまで決断しない経営者が多いようだ」と話している。

これはもっともである。

※いっしょうけんめい探せばグループ単位に整理した統計が見つかるかもしれませんが、このblogでそこまではやりきれません。あしからず。
※その後、手近にある資料を見たところ、およそ次のような状況だった。
1)(開始決定後、再生計画認可に至らず手続廃止)÷開始件数≒14%
2)(再生計画認可後の手続廃止)÷開始件数≒5%
 これによると、廃止率は約19%となる。
 なお、この資料も、グループ単位ではなく件数単位の集計とみられ、件数単位でも廃止率は2割ということになるので「廃止率4割」という報道がどういう調査に基づくものなのか、ますます興味深くなった。
(上記で、件数単位の集計なら廃止率4割もあり得る数字だと書いた部分は暫定的に留保します。グループ単位/件数単位という問題ではない可能性もあるようです。より確実なデータが入手できたら訂正するかもしれません)

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「個人情報の保護に関する基本方針案」諮問

※特別清算ネタが続いたので、別の話題を。

 16日に行われた国民生活審議会第7回個人情報保護部会で「個人情報の保護に関する基本方針案」(事務局案)について意見交換が行われた。
 第7回部会の議事要旨(暫定版)では基本方針案が了承されたか否かは明記されていないが、第8回部会の配付資料によると、25日付けで内閣総理大臣から国民生活審議会に対して諮問がなされているので、基本方針案(事務局案)は了承されていたということか。この審議会は、自分宛ての諮問の内容をあらかじめ議論していたということか・・・わからないことが多い。
 なお、26日に行われた第8回部会の議事要旨はまだ公表されていないが、基本方針は、国民生活審議会の答申を経て、近日中に閣議決定される予定である。

※国民生活審議会サイトは、法制審議会サイトに比べて充実している。がんばれ~(>法制審議会事務局)

(4月2日追記)
 閣議決定された。

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議論メモ/特別清算についての検討課題(1)

 続きです。項目だけではつまらないので、私のメモから。

1 特別清算の見直しの方向

 「債権者の利益の保護を図ること及び破産を予防することを目的とする、株式会社についての通常の清算手続を厳格化した特殊な清算手続」という現行の特別清算の基本的枠組みを維持すべきか
※破産手続の特則(協定による清算を内容とする簡易な倒産処理手続)として位置づけることはしないという趣旨

2 手続の開始原因
3 手続開始の条件(申立ての却下事由又は棄却事由)

 現行の特別清算の基本的枠組みを維持するとすれば、開始原因や手続開始の条件は、実質的に現行法のものを維持することになるのではないか

4 協定の不認可要件(清算価値保障)

 現在は明文の規定なし→民事再生法174条2項に準じて明文化すべきではないか

法制審議会サイトの更新が遅いことについての恨み節が聞こえたのか、ようやく会社法(現代化関係)部会の第20回会議(3月17日)と倒産法部会(特別清算分科会)の第1回会議(2月20日)のリンクが開設されたが、残念ながらリンク切れのままだ。
 すでに特別清算分科会は第2回会議(3月19日)も終わっているし、今月29日には注目の保証制度部会も開催される予定である。引き続き関係者の奮闘?を期待したい。

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議論メモ/倒産法制に関する残された検討課題

 あいかわらず法制審議会サイトの反応が鈍いので、某所で議論している項目だけ紹介します。

第1 特別清算手続の見直し

1 新たな手続の位置づけ
(1)基本的な位置づけ
(2)破産手続との関係
2 手続の名称
3 管轄
4 対象となる債務者
5 申立権者
6 手続の開始原因
7 申立ての方式等
8 手続の開始前の保全処分
9 手続の開始の条件
10 手続開始決定の効果等
(1)債務者の解散
(2)債務者の地位
(3)債務者の行為の制限
(4)未履行双務契約の処理、各種債権、取戻権、別除権等の取扱い
11 手続の機関
(1)監督委員及び調査委員
(2)管財人
12 債権の届出・調査・確定等
(1)債権の届出
(2)債権の調査及び確定
(3)少額債権等の取扱い
13 債務者の財産の調査及び確保
(1)否認権
(2)法人の役員に対する損害賠償請求権の査定
14 債権者集会
(1)招集権者
(2)清算事務説明のための債権者集会
(3)協定の決議を行うための債権者集会
15 その他
(1)協定の決議を経ない清算
(2)その他必要となる事項

第2 整理手続の廃止

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河村貢ほか「株主総会想定問答集・平成16年版」(商事法務)

 堂々の想定問答数2083件である。
 解説編の「株主総会の集中についての再考」では、定時株主総会が特定の日に集中して開催されることに対する批判には合理的な理由がないということが実証的に書かれてあり、同感である。
 一方、一括審議方式への批判も本書の定番であるが、私は一括審議方式でも問題ないと考えており、どうしてそんなに徹底的な批判の対象になるのかわからない。
 それぞれ理由を書くと長くなるので割愛。

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再生計画認可後における弁済条件の変更手続

1)免除を受ける場合

・民事再生法85条1項は「免除」を明示的に除外しているので、再生債権につき、再生計画認可後に、再生計画変更の手続によらなくても免除を受けることができる。

2)変更する場合

(a)再生債務者有利(=再生債権者不利)の方向であれば、再生計画変更の手続によらなくても個別和解により弁済条件を変更することもできると解釈できる。
(b)一方、再生債務者不利(=再生債権者有利)の方向であれば、再生計画変更の手続によらずに弁済条件を変更することはできないと解釈できる。

・もっとも、どのような場合に再生債務者有利(=再生債権者不利)であるのかについては一義的に決まらない場合もあるので、事案に応じた検討が必要。

※本記事も、某所での議論を私が個人的に整理したもの。

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講演「個人情報保護法に関する企業の対応について」

 講演でいつも気になるのは「求められているレベル・内容」である。あまりにも基本的な話を続けると「そんなことは知っているよ」ということになるし、基本的なことを省略して応用の話ばかりをして、会場が「?」だらけになってしまうのも気まずい。
 そのため、依頼者には事前に「どんなレベル・内容の話をすればよいか」と確認することにしているが、それで不安が完全に解消するわけではない。
 質疑が活発になされれば、その場で受講者の求めているレベル・内容を把握することができるので、やりやすいが、受講者の数が多くなるほど活発な質疑は期待できなくなる。

 今回は、受講者20名弱で、講演というより勉強会といった雰囲気であり、質疑も活発だったため、たいへん話しやすかった(自己満足かもしれないが・・・)。
 なお、関心の集まった話題は「旧顧客の個人情報の取り扱い」「いわゆるブラックリストの位置づけ」であった。「利用目的をどの程度特定すべきか」についても関心が高かったが、一律の基準があるわけではなく、ケースバイケースといわざるを得ない場合が多い。

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東京地方裁判所民事執行センター「平成15年の事件動向(速報)」

 金融法務事情1701号(3月15日号)23頁で紹介されている。
 かっこ内の件数は(平成13年→平成14年→平成15年)。

 不動産担保権実行・新受事件:4347→4299→4183
 売却率→漸増(約8割)
 売却のための保全処分・受理件数:20→22→4
 買受人のための保全処分・受理件数:34→36→11
 引渡命令の申立て・受理件数:2800→2187→1732

 それぞれ減っているようである。改正担保執行法施行後はどうなるか。

「予告登記制度、廃止へ」に追記。
「最低売却価額→売却基準価額」に追記。

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「会社法制の現代語化に関する要綱試案」に対する各界意見の紹介~金融実務に関する論点を中心に~

 金融法務事情1701号(3月15日号)17頁で紹介されている。例によって法務省サイトのパブリックコメントコーナーでは未発表だが。。。
 平成17年の通常国会における法案提出が予定されているとのこと。
 気になった点をいくつか。

1)最低資本金制度の改廃

a案)株式会社について現行の有限会社と同額の300万円とする案
b案)株式会社・有限会社について300万円よりもさらに引き下げた額(例えば100万円、10万円等)とする案
c案)設立時に払い込むべき金銭等の額については規制を設けないとする案

については「a案を支持する意見とc案を支持する意見が多数を占めた」とのことである。明記されていないが、たぶん会社法学者・法曹界は相対的にa案を支持し、経済界はc案を支持する傾向にあるのではないか。

2)新たな会社類型

 出資者の有限責任が確保され、会社の内部関係については組合的規律が適用されるような新たな会社類型の創設に係る提案については「その創設に賛成の意見を述べるものが多数を占めた」とのことである。
 関連する意見として「新たな会社類型と他の会社類型との間の組織変更や組織再編手続を整備すべきである」とするものがあったとのことであるが、私も賛成である。

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破産者の自由財産(金銭)の拡張により、同時廃止と管財事件の振り分け基準は変わるか

 この記事の続き。

 これまでは、破産者の自由財産(金銭)は21万円以下で、破産申立人が20万円未満の現金しか持っていない場合には原則として同時廃止とされていた。
 改正破産法の施行により破産者の自由財産(金銭)が99万円に拡張されると、これと連動して、例えば破産申立人が99万円以下の現金しか持っていない場合には同時廃止となるのだろうか、ということに一部関係者の関心が集まっている。
 しかし、現行破産法も破産法案も、同時廃止の要件は「破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるとき」(要するに破産管財人の報酬を支払えないとき)となっており、この点に変更はない(下記条文参照)。また、破産手続の費用の最低額も変更はない(20万円)と見込まれている。
 そうすると、破産者の自由財産(金銭)が99万円に拡張したとしても、やはり20万円以上の現金を持っている場合には「破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足する」とは認められないので、同時廃止ではなく管財人が選任されると考えられる(しかし、破産者が有する99万円までの金銭は自由財産であるから、破産財団には組み込まれない)。
 要するに、破産者の自由財産(金銭)と同時廃止基準は、これまで同額というイメージで扱われてきた(もっとも、21万円と20万円だから厳密には同額ではない)が、理論的には両者を同額にする必然性はないのである。
 よって、本記事タイトルの疑問に対しては「振り分け基準は変わらない」という回答になろう。

現行破産法145条1項
 裁判所カ破産財団ヲ以テ破産手続ノ費用ヲ償フニ足ラスト認ムルトキハ破産ノ宣告ト同時ニ破産廃止ノ決定ヲ為スコトヲ要ス
破産法案216条1項
 裁判所は、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるときは、破産手続開始の決定と同時に、破産手続廃止の決定をしなければならない。

※同時廃止の条項は、現行破産法では「第2章 破産宣告」に置かれているが、破産法案では「第9章 破産手続の終了」に置かれているので、現行法のつもりで「破産手続開始の決定」(破産法案30条)のあたりを探しても見つからない。

※本記事は、某所での議論を私が個人的に整理したものであり、改正破産法施行後の運用が上記のように決まったという趣旨ではない。また、東京地裁本庁の運用を念頭に置いたものであり、他の裁判所では違う扱いになる可能性もある。念のため。

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このblogについて

1)コメント・トラックバック・メールなどをいただき、ありがとうございます。
 個別には応答できないことが多いと思いますが、blog運営の参考にさせていただきます。

2)私が関心のある法律問題が中心のblogです。
 それだけでも複数のカテゴリに分かれていて、単一テーマのblogと比べて散漫になる気がするので、それ以外の記事(たとえばこのような記事)はなるべく書かないようにします。(漢字が多くて恐縮です)

※また、この記事でも書きましたが「情報ネットワーク法」については他にも有益なblogがいくつも存在するので、相対的には他のカテゴリを充実させるほうがいいかなと思っています。

※取扱案件について言及するほうが面白いのだと思いますが、守秘義務などと折り合いをつけながら書く筆力が乏しいので、どうしても法律解釈や文献紹介に偏りがちです。書斎派というわけではありません。

3)網羅性・正確性の保証はしません。
 思いついたときに書いているので、重要なトピックが抜けるかもしれません。また、続報もできないことが多いと思います。さらに、内容も正しいとは限らないので、間違っていたら(できればこっそり)お知らせ下さい。こっそり直しておきますので。

4)なるべく頻繁に更新することを優先的に考えたいので、ひとつの記事は短文であることが多いと思います。
 ただし、1日2回以上記事を流すことはないと思います。

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FAQ/破産法における自由財産(金銭)の拡張は2段階

 改正民事執行法の施行により、4月から一部変更される。
 また、破産法改正により、さらに変更が予定されている。

(1)平成16年3月までは21万円

破産法(現行)
(破産財団の範囲)
第6条 破産者カ破産宣告ノ時ニ於テ有スル一切ノ財産ハ破産財団トス
3項 差押フルコトヲ得サル財産ハ破産財団ニ属セス(以下略)

民事執行法(改正前)
(差押禁止動産)
第131条  次に掲げる動産は、差し押さえてはならない。
3 標準的な世帯の1月間の必要生計費を勘案して政令で定める額の金銭

民事執行法施行令(改正前)
第1条 民事執行法(以下「法」という。)第131条第3号(法第192条において準用する場合を含む。)の政令で定める額は、21万円とする。

(2)平成16年4月からは66万円

民事執行法(改正後)
(差押禁止動産)
第131条  次に掲げる動産は、差し押さえてはならない。
3 標準的な世帯の2月間の必要生計費を勘案して政令で定める額の金銭

※政令の額は66万円になるらしい(条文未入手)

(3)改正破産法施行後(平成17年?月?)は99万円

破産法案
(破産財団の範囲)
第34条 破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産(日本国内にあるかどうかを問わない。)は、破産財団とする。
3項 第1項の規定にかかわらず、次に掲げる財産は、破産財団に属しない。
 1 民事執行法(昭和54条法律第4号)第131条第3号に規定する額に2分の3を乗じた額の金銭

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法制審議会倒産法部会特別清算分科会第1回会議

 倒産法の全面改正作業も、いよいよ特別清算を残すのみとなった。
 法制審議会倒産法部会に特別清算分科会が設けられ、その第1回会議が2月20日に開催されたので、法制審議会のサイトでその結果が公表されるのを待っていたら、金融法務事情1700号(3月5日号)で先に報じられてしまった。
 現行法上、対象債務者の範囲は「清算中の株式会社」に限定されているが、改正作業においてもこの点は維持するとの意見が大勢を占めたようである。解散決議前の株式会社(存立中の株式会社)に拡張すると、開始原因が破産と同じになってしまい適当でないため。
 第2回会議は3月19日に行われる予定である。

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個人情報漏えい内容、利用者へ通知義務化 総務省が指針改定へ

 毎日新聞の記事

 このblogの以前の記事でも書いたが、個人情報の流出を防ぐための措置を十分に講じておくことは当然として、それでも、流出を完全に避けることはできないと考えられることから、流出した場合に取るべき措置もよく検討しておく必要がある。

 「個人情報が流出した場合に利用者に通知する義務」というのも、毎日新聞の記事にあるように、個人情報保護法上の義務ではないが、個人情報が流出した場合に取るべき措置の一環として位置づけられよう。

 総務省のサイトでは、

電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン
(平成10年12月2日郵政省告示第570号)

は見つかったものの、毎日新聞の記事にある

 総務省は10日、ブロードバンド(高速大容量)通信サービス「ヤフーBB」の個人情報流出事件を受けて、「電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン」を早ければ年内にも改定し、万一情報漏えいがあった場合には、通信事業者が利用者に通知する義務を新たに盛り込む方針を固めた。
 具体的には、事業者に対し(1)利用者本人に情報漏えいの内容を通知する(2)メールアドレス変更に誠実に応じる(3)苦情処理専用窓口を設置する――の3点を求める。

という内容はまだ総務省のサイトでは見当たらない。「方針を固めた」という段階ではしかたがないか。
 同じ記事にある「電気通信事業分野におけるプライバシー情報に関する懇談会」についても、開催されるとの報道発表はあるが、内容はまだ公表されていないようである。

 ガイドラインに新たに定められる義務については、

(1)いつの時点で「個人情報が流出した」と判断すべきか
※流出の事実を確認するためにはそれなりに時間がかかると考えられる。

(2)通知すべき「利用者」とは誰か
※「流出した個人情報の情報本人としての利用者」であれば、通知すべき理由は比較的わかりやすいが、どの利用者の個人情報が流出したかを特定するためにはやはり相当の時間がかかると考えられる。
※一方「個人情報流出事故を発生させた電気通信事業者の利用者全員」という意味であるとすれば、その範囲はある程度明瞭だが、なぜ全員に通知しなければならないか(公表で足りるのではないか)

がどうなるか、気になるところである。

 また、今回のガイドラインは電気通信事業者を対象とするものであるが、個人情報の流出事故を発生させうるすべての事業者においても同様の問題が生じうることに注意が必要である。

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「CSRを語る前に、内部管理体制を整備せよ」

 私にとって、木村剛氏と言えば「内部管理」である。
 3年前に同氏の青い本「新しい金融検査と内部監査―改訂金融検査マニュアルの読み方」を読んでからは「内部管理はプロセスだ」などと(ホントは受け売りなのに自分の言葉のように?)語り、依頼者企業の内部管理体制の構築や運用のお手伝いをしてきた。
 そういうわけで、木村氏のblogには最初から注目していたのだが、タイトルが「週刊!」なので「blogが週イチ更新じゃつまらないなあ」「1本の記事が長いから週イチ更新も厳しいかなあ」と思っていたら、いつの間にか毎日更新の目が離せないblogに急変し、いよいよ「内部管理」の記事も登場した。
 これからは「CSRを語る前に、内部管理体制を整備せよ」を自分の言葉のように語ろうかとも思ったが「週刊!木村剛」の注目度の高さからすると、たちどころに受け売りであることが発覚するに違いない。。。

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日本執行官連盟「新民事執行実務」2号

 この雑誌は、毎年2月ころに刊行される、日本執行官連盟の年報である。執行官がどのように民事執行にかかわり、どのような問題を抱え、どのようなことに関心を持っているかがわかるほぼ唯一のメディアである。

※「新民事執行実務」は通巻2号だが、その前身の「民事執行実務」は通巻32号を数える。

 民事執行手続を執行官の視点から見ると、申立代理人としての弁護士の視点から見る民事執行手続とは少し違うことがわかる。
 弁護士にとっての民事執行は「法的権利実現の最終段階」であるが、執行官にとっての民事執行は、よく事情が書いていない(仮処分などにおいては定型文の主文だけが書かれた)債務名義がいきなり手元に届くことから始まる手続である。だから、執行官がことあるごとに「申立人からの情報提供を!」と唱えることになるのももっともなことである。

※「である」調にしてみました。

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法制審議会第142回会議

 法制審議会サイトウォッチャーと化しています。
 こちらもようやく公表されましたが、採択済みの2つの要綱(下記)は公表済みであり、それ以外に私にとってめぼしい情報は見当たらず。雑誌記事のほうが早いくらいなので、このblogで言及する方法を再検討しなければ。

(参考)
不動産登記法の改正についての要綱(骨子)と、それを紹介した私の記事
民事訴訟法及び民事執行法の改正に関する要綱と、それを紹介した私の記事

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法制審議会会社法(現代化関係)部会第19回会議

 ようやく公表されましたが、短いので全文コピペします。これだけでは内容がわからないのですが。。。

○ 議題
     ・  株式会社と有限会社の規律・類型の一体化についてて


○ 議事概要
     ・  株式会社と有限会社の規律・類型の一体化に関し,議論がされた。

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三上徹「限度根保証と割合根保証」

 金融法務事情1699号(2月25日号)4頁に上記論文が掲載されています。

 私も「個人保証禁止論」は行きすぎだと思います。
 個人保証が禁止されると、多くの人・企業が融資を受けられなくなりそうですが、そうなると、間接金融の役割は相対的に低下し、直接金融による調達が主流になるのでしょうか。
 それはそれでひとつのあり方ではないかとも思いますが、個人保証の禁止を主張する人々がそのような社会の到来を願っているとは考えにくいのですが。。。

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日本弁護士連合会特別研修「新しい破産法」

 日本弁護士連合会特別研修「新しい破産法」を受講しています。

 5分前に到着したら第一会場(弁護士会館講堂)と第二会場は既に満席で、第三会場に回されてしまいました。
 研修内容は全国25か所に中継され、数千人の弁護士が受講しているとのことです。

 ときどき中継が途切れるのがイマイチですが、第三会場のいいところ(?)はPHSの電波が届くことです(第一会場では届かない)。
 そういうわけで、この記事は第三会場からアップロードしてみます。
 某民事局長の名調子が久々に炸裂しています。

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電子公告制度の導入のための商法等の一部を改正する法律案

 「電子公告制度の導入のための商法等の一部を改正する法律案」が2月13日に国会に提出されました。
 法務省のサイトで法律案等が公表されています。

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blog/個人情報保護めも

 「個人情報保護めも」というblogを見つけました。
 内容がたいへん充実しています。

 恥ずかしながら、私が以前に書いた記事のうち、こちらのblogのほうが、より迅速に、より詳細に取り上げていると思われるものもあるようです。
 blogでは「ニュースを紹介する」というスタイルがよくありますが、以前にも紹介したblog「The Doggish Days」で、

ニュースのフィルタリングそのものが新しいメディアの萌芽であるという考え方はおもしろいけれど、フィルタリングはしょせんフィルタリングでしかない。だいたい今の日本で、ニュースのサイトなんてそれほどたくさんあるわけではない。一般メディアの五大紙、それにIT系のZDnet、ASCII24、Impress Watch、Cnetを加えた程度か。結局のところ情報の出所は一緒だから、同じニュースがぐるぐるとネットの中を回っているだけのようにも思える。まるで自分のしっぽを飲み込んだ蛇みたいに。

という記事があったのを思い出しました。まさにそのとおりです。

 当然のことながら、情報ネットワーク法という法分野は、他の法分野と比較してbloggerが多く、記事の内容が似たり寄ったりになりがちなので、今後は、この分野を取り上げる際には、私のblogで取り上げる意味があるのかどうかを今まで以上に慎重に吟味したいと思います。

※わかりにくいとの指摘を受けたので「ヤフーBB!を模範に」を「ヤフーBB!を不当要求拒絶の模範に」と改めました。
 記事内容は今回は改めていませんが、近いうちに書き直すかもしれません。
「メール履歴90日保存要請の刑訴法改正案 今国会提出へ」に追記。

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FAQ/短期賃貸借制度の廃止・経過措置

 質問が多い点を整理します。網羅的ではありません。

1)短期賃貸借の保護がなくなるのは、施行後に新たに契約締結する短期賃貸借からです。現存する短期賃貸借は、引き続き(改正法施行後に更新されても)保護されます。

(平成15年改正法附則5条)
〇この法律の施行の際現に存する抵当不動産の賃貸借(この法律の施行後に更新されたものを含む。)のうち
〇民法第602条に定める期間を超えないものであって
〇当該抵当不動産の抵当権の登記後に対抗要件を備えたもの
に対する抵当権の効力については、なお従前の例による。

2)一方、建物の明渡猶予制度(民法395条)には経過措置はないので、

(民法395条)
〇抵当権者に対抗することを得ざる賃貸借により(※1)抵当権の目的たる建物(※2)の使用または収益をなす者にして
(1)競売手続の開始前より使用または収益をなす者(※3)
(2)強制管理または担保不動産収益執行の管理人が競売手続の開始後になしたる賃貸借により使用または収益をなしたる者は、
〇その建物の競売の場合において買受人の買受けのときより6か月を経過するまではその建物の買受人に引き渡すことを要せず

との規定が直ちに適用になります。私が最近みた物件明細書には「〇〇の賃借権は、〇〇なので、買受人に対抗できない。ただし、平成16年4月1日以降に代金納付がされる場合、その代金納付日から6か月間明渡しが猶予される」との記載があり、すでに改正法対応が始まっています。

 なお、以下のような場合には、建物の明渡猶予制度の対象にならないので、代金納付後すぐに引渡命令(民事執行法83条)を申し立てることができます。これらの場合の申立期間は代金納付後6か月(9か月ではない)なので、申立期限に注意する必要があります。

※1 ということは、単なる不法占拠者は除外(下記文献94頁)。使用貸借も除外されるのでしょう。
※2 ということは、土地の場合は除外。
※3 ということは、競売手続の開始後に使用収益を開始した者は除外。

(参考文献)山川一陽・山田治男「改正担保法・執行法のすべて」(中央経済社)

※正確でないかもしれません。間違いがあったらご指摘下さい(この記事に限りません)。
「ITヤクザの台頭」に追記。

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西武鉄道利益供与事件で9人逮捕
(そのうち会社側は取締役3名を含む6名)

 以前の記事で不当要求を拒絶したヤフーBB!(ソフトバンク)をほめていたら、反対に不当要求に応じた会社があったというニュース。

(参考)毎日新聞の記事

「破産法案が参議院に提出」に追記。
「破産者の「支払不能」後の債務負担と相殺禁止」に追記。
「ヤミ金融の不法収益約60億円がスイス系の銀行へ」に追記。

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江頭憲治郎「株式会社・有限会社法第3版」(有斐閣)

(アクセスカウンタが4ケタになりました。みなさんありがとうございます)

 会社法概説書の定番。
 ほんの数か月前に第2版を買っていた知り合いの弁護士が後悔していました。
 パソコンソフトのように、バージョンアップ直前の製品(この場合は第2版)は、割引するか、アップグレード版(この場合は第3版)を低廉な価格で提供するような工夫をしてもらいたいものです。
 自衛策として、近い将来の改訂が予想される文献を購入する際は、あらかじめ出版社に改訂予定時期を問い合わせていますが、めんどくさい。。。

※近いうちに商法改正関係のカテゴリを作る予定。
「ヤフーBB!を模範に」に追記(タイトルも変更)。
「組長責任の立法化」に追記。

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