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FAQ/引渡命令と占有移転禁止の仮処分

 この点について質問が多いので、整理してみました。

1)「引渡命令」を被保全権利とする占有移転禁止の仮処分→×

(コメント)引渡命令の申立権者はほとんどの場合において「不動産明渡請求権」を有しているので、この明渡請求権を被保全権利とすればよい。

2)次の時期に占有移転禁止の仮処分を求めることができるか?
(a)引渡命令の申立て前→OK
(b)引渡命令の申立て後、発令前→OK
(c)引渡命令の発令後、確定前→OK

(理由)本案訴訟を提起するか否かは債権者の選択の問題であり、自由である。

(コメント)「引渡命令を申し立てたら占有移転禁止仮処分を申し立ててはならない」というような誤解が少なくない。

(d)引渡命令の確定後→×

(理由)確定後は、その執行により占有の回復が可能であるから、まずはその執行を行うべきであり、占有移転禁止の仮処分による権利保護の必要性を欠く。

(コメント)占有移転禁止仮処分の申立てを検討するような事例では、密行性を保つため引渡命令を先行させないのが一般的なので、このような場面を想定する必要性は乏しい。
 しかし、占有移転禁止仮処分の必要性をさほど検討せずに引渡命令を申し立て、その後に仮処分の必要性に気づいたような場合には、この点に注意する必要がある。

(e)引渡命令の執行不能後→OK

(参考文献)
東京地裁保全研究会編著
「民事保全の実務[新版]」上巻279頁以下

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